【心が静まる《仏画》のオススメ】

初心者大歓迎の《骨董・美術品専門オークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

洋の東西を問わず、近代以前の社会では宗教が人々の生活に与える影響は、現代社会比較にならないほど大きなものでした。疫病や天災の時に、絶望する人々に寄り添う無名の僧侶がいたかと思えば、時の権力者の近くで存在感を強める寺院があったりと、影響力が強かっただけに、その功罪も大きかっただろうと想像します。

教会やお寺には、祈りの対象としての彫刻や絵画があり、そこで祈ることで精神の安寧が実際に保たれていたのだと思います。宗教には、今以上の力が備わっていたはずです。

やがて経済的に豊かな人々が、祈りの対象を自宅にも欲しいと願い、宗教画の需要が社会に広がっていきます。ただ、そうはいっても、家に祈りの対象を持てる人々というのは、長いこと少数派だったと思います。きっととても高価な、贅沢品だったんでしょうね。

日本では平安時代から、仏像とともに仏画が多く制作されるようになり、鎌倉時代からそのバリエーションが広がって、室町時代には特に禅画が盛んに描かれるようになりました。ただ、江戸時代以降は、文人画や浮世絵など絵画のジャンルがさらに多彩になったために、仏画というジャンルの持つ価値や意味合いが変化していったのだと思います。そして、明治時代以降、新しい仏画が誕生して現在に至ります。

現在、サムライオークションには、数点の仏画の作品が公開されています。

《▼『仏画』での検索結果・作品はこちらです》

いずれも特長的な作品ばかりです。その画に向かい合ってみると、そこに特別な物語を感じたり、信仰を持たない自分でも自然と静謐な気持ちになることができます。やはり、お葬式や法事などで、ずっと身近にあった仏教的な考え方や物語が、身に備わっているのでしょうね。 ぜひご自宅に飾ってみてはいかがでしょうか。

【この秋は、骨董市に行ってみませんか?】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

もともと集団で生活するように最適化され、進化してきた人間にとって、人との接触を制限されることは、多くの人にとってしんどいことだと思います。ただ、まだまだ油断はできないとはいえ、新型感染症もある程度の落ち着きをみせてきています。

誰かと出会うこと、触れ合うことで人は成長します。刺激を受け、気づき、考えることがとても大切。骨董や美術にも同様の効果がありますね。全く知らなかった作家や作品に出会い、何かを感じて好きになる、そんな瞬間が大好きです。

サムライオークションはネットオークションなので、コロナ禍でのネット閲覧推進をもっとPRするべきなのでしょうが、今回は大江戸骨董市のご紹介をします。

春先からずっとお休みだった大江戸骨董市は、10月4日(第1日曜日)・18日(第3日曜日)に東京国際フォーラムにて開催予定です。新型コロナ感染症の状況によっては、中止になることもあると思いますので、事前に以下のサイトより、情報をご確認ください。

《大江戸骨董市・公式ホームページ》

骨董ファンの方でしたら、ご存知の方も多いかもしれませんが、大江戸骨董市は、〈有楽町・東京国際フォーラム〉と〈原宿・代々木公園ケヤキ並木※8月現在、次回開催日程は未定〉で開催されているアウトドア骨董市です。

日本最大規模とうたわれているように会場が広く、なんと言っても屋外なので、参加者が最低限のマナーとしてマスク着用で感染防止に努めていれば、それほど感染の心配もしなくて済むと思います。

出店数は約250店舗、一見フリーマーケットのように見えるお店もありますが、出店資格は〈古物商許可証〉取得者なので、身元は確かな方ばかりです。陶磁器、版画、軸物、道具類、などなど、あらゆるものがありますし、陳列も個性豊かでユニーク。初心者の方に最適だと思います。お時間があれば、ぜひ足を運んでみてください。 気になる作家や作品と出会った時には、サムライオークションでも検索してみてくださいね!

【《長楽無極》誰もが憧れる心持ち】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

休日は外出を控えていますし、テレワークも多くなり、自宅で過ごす時間が増えています。猛暑も続いています。無自覚でもストレスは溜まっているのでしょうね。少し心がささくれている気がします。

そこで、書を表してみました! まず、何を書くか悩みました。まあ、アレコレと書いてはみたのですが、こちらでご紹介する言葉は何にしようかなと…。お手本を見ながら、練習すること1時間です。『泰然自若』『大器晩成』『悠々自適』…。今の気分にしっくりくる言葉を探しながら、筆をふるっているうちに、だんだん楽しくなってきました。

書も絵画も、さまざまなスタイルがあり、多くの巨匠がいて、お手本にするのは良いと思うのですが、お手本の通りに書ければ正解というものではなく、要は自分が気に入った絵が、文字が、表現できれば満足、ハッピーということですね。そんなことに改めて気づきました。そこで、公開作品は『長楽無極(ちょうらくむきょく)』にしました。楽しみが限りなく続くこと、極まることがない楽しみ、という意味ですね。

嫌いなことを無理に『楽しい』と思うことは、できないのです。ただ、はじめは楽しくなくても、一生懸命やっているうちに、楽しくなってくることはあります。仕事が典型ですね。気分が乗らなくても、とにかく数分でもいいから集中してみる、頑張ってみる、そこから気持ちが乗ってくる、ということもあります。いつもうまくいくわけではありませんが(^_^;)。

ちなみに、龍のすずりは、栃木の骨董市で落札したものです。古いもののようですが、それほど使い込まれているようでもなく、以前の持ち主の方はどんな方だったのだろうと、いつも考えてしまいます。モノを通じて、見知らぬ人とつながることができるのも、骨董の楽しみのひとつですね。

サムライオークションには、骨董の各種道具類も取り扱っています。時間のある時にぜひご覧ください。

【風呂敷ブームで思い出す《クリスト》の梱包アート】

こんにちは! 初心者大歓迎の《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

レジ袋有料化で、風呂敷が密かに人気のようです。学生時代、なぜか風呂敷を使っていた事がありました。はっきり言って、とても便利です。今は生地や柄も選択の余地が広がって、ブームもうなずけます。

今年5月、現代美術家のクリスト(1935〜2020年)が亡くなりました。歴史的な建造物や自然や公園の風景をラッピングする作品は、常に大きな話題となって、世界を騒がせました。オーストラリアの海岸やパリのセーヌ川にかかるポンヌフ橋、ドイツの国会議事堂などなど、今調べてみてもよく実現できたなぁという印象のものばかりです。日本でも1991年に茨城県常陸太田市で巨大な青い傘を立てる《アンブレラ》プロジェクトが行われています。

このような巨大な構造物や自然をラッピングする行為が、なぜアートになるのか、美術評論家のような専門家の間でも、議論の対立があったように記憶していますし、私自身ももちろんよくわからず、アーチストというよりも、何かビッグイベントのプロモーターのような印象さえ持っていました。

しかし、2016年に水戸芸術館で行われた作品回顧展などを見ると、作品の舞台となる理想的な土地を探して日本全国を探した話や細かい設置場所などについて解説があり、当然ですが明確な意図を持って巨大な傘を1340本立てていることがわかります。茨城県の山間地の谷間にならぶ巨大な傘は、壮観なだけではなく、日本に住む人間の社会を想起させる力があります。 歴史的建造物を包む行為も、鑑賞者に新しい視点を与え、その建物を包む意味を考えさせることで、人間の営みやその本質に気づかせてくれます。新しい視座の提供、物事の本質の啓示というような意味で、まさしくクリストにしかできない、唯一無二のアートなのだと思います。

【《飛鳥美人》の公開に美人を考える】

こんにちは! 初心者大歓迎の《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

優しくて仕事も早い、見た目も男前な知人がいます。当然、若い頃はモテモテでしたが、数年前に偶然街で再会した時、結婚したと聞かされた相手に衝撃を受けました。『蓼食う虫も好き好き』ということわざの意味を、人生で初めて実感しました。いや、お二人が幸せであるならば、何の文句もございませんです、はい。

7月18日から24日まで、『飛鳥美人』の愛称で呼ばれる国宝、高松塚古墳壁画(7世紀末〜8世紀初め)が一般公開されました。事前に募集した見学希望者は、4476人もいたそうです。熱心な美術ファン、考古学ファンの方が多いですね。

約13年にもおよぶ修復作業によって、極彩色の女子群像の汚れやカビが除去され、下地のしっくい強化などが行われたそうです。ただ、その一般公開の様子は、修復作業のためにバラバラに分割された壁画を、貸し出されたオペラグラスを使ってガラス越しに覗くという感じで、少し残念な印象でした。

やはり、壁画はできればそれが描かれた環境の中で、その当時の歴史などを想いながら、先人画家の創作活動を想像するというのが、理想的な鑑賞作法のような気がします。たしかに貴重な人類の遺産なのですが、切り出されてガラスケースに入った壁画に少し違和感を持ちました。

文化庁は「新しい常設施設をつくり、もう少し見やすい形での公開を目指す」としているので、今後に期待したいところです。

ところで、美人の定義ですが、よく時代によって変わると言われます。確かに平安時代の下膨れとか、西洋画古典のぽっちゃり体型とか、現代人のセンスとそのまま比較するのはナンセンスだと思いますが、そもそも何が美しいかというのは、いつの時代でも完全な正解があるわけではありません。

何が美しいのかは、人ぞれぞれに好みがあり、異なる基準があります。描かれる感情表現についても、わかりやすい豊かな表情が好きな人もいれば、控えめな描き方を評価する人もいます。

目の前の作品をじっくり見て味わうのと同時に、作者の意図(趣味嗜好)や時代背景なども合わせて鑑賞し考えるということが、美術の楽しみ方の大きなポイントだと思います。

サムライオークションにも、幅広い作品が出品されています。あなた好みの作品を、じっくりと探してみてください。

【利用されてこその文化施設】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

これまでの人生で、思わず叫んでしまうほど感動したライブシーンが2回あります。1回目は1995年、野茂英雄のMLBデビュー戦。ドジャーブルーのユニフォームの野茂投手がマウンドに上がった時、なぜか涙が出てきました。2回目は1998年、中田英寿が2ゴールを上げたセリエAでのデビュー戦です。それほど熱心なファンではない自分があれほど感動したのですから、多くの国民に対して少なからず影響はあったのだと思います。

文化庁は先日、金沢市に移転する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館)を10月に開館すると発表しました。名誉館長には、中田英寿氏が就任。国立工芸館は日本で唯一の工芸専門の美術館。陶磁器やガラス、漆器、木工など、約1900点の作品を金沢市に移すそうです。

また政府はこの8月、文化施設を拠点とした観光振興のための『地域文化観光推進法』に基づいて、支援対象となる全国10地域を初めて認定しました。海外への情報発信や、施設の利便性向上などを幅広く支援するそうです。

今回認定されたのは、秋田県の『増田まんが美術館』、福井県の『一乗谷朝倉氏遺跡』、愛知県の『徳川美術館』など。税金の使い方ですから、賛否両論はあると思います。それでも、文化施設は人々に利用されてこそ、はじめて意味をなします。影響力のある人がPRしたり、ノウハウのある人が持続性のある運営をサポートするのはとても有効です。

景気が悪くなり、経済的な余裕がなくなると、人々の文化的な活動は急速に停滞してしまいます。ましてや感染症拡大防止策として、美術館などは長らく閉館し、その経営や運営についても問題にされることが増えています。文化財の公開、美術館の運営ノウハウとコスト、そして経営と、いくつもの難しい課題が複合的に存在し、日本の文化度のレベルをそれなりに形成しています。

コロナ禍が落ちついた後、国からの助成がなくなり、財源不足になった時、広く日本の美術業界には、危機的な状況がくるのかもしれません。アーティストを育てるのと同様に、文化財の保護にも、ある種のパトロン的な存在が必要になるような気がします。ネサンス期のメディチ系や日本の松方幸次郎(1866〜1950年)、薩摩治郎八(1901〜1976年)などのような、太っ腹の起業家の出現に期待したいところです。

サムライオークションもまだ大きなことは言えませんが、皆さまの美術鑑賞のお手伝いを通じて、日本の文化度向上に少しでも貢献していきたいと思っています。

ガラスの宝石【とんぼ玉】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの井戸です。

暑い季節に飲みたくなる飲み物といえばラムネですよね。ラムネの瓶に入っているビー玉を集めたことがある方は多いのではないでしょうか。ビー玉は不要なガラス瓶を砕いたものが原料となり、工場で大量生産されます。

そんなビー玉とは用途も製造方法も違うガラス製の玉に、「とんぼ玉」というものがあります。とんぼ玉は、ガラス工芸のように職人の方が、ガラス棒をバーナーなどの高温の火にかけて、溶かしながら形や模様を作ります。トンボの目を連想させる形や模様をしており、ビー玉と違って穴が通っています。

とんぼ玉は、太古の時代からお守りや上流階級のアクセサリーとして大事に扱われてきました。古代エジプト時代では「目」をあしらったアイビーズと呼ばれるデザインが邪悪なものを睨み返す力があるとされ、身を守る意味がありました。また、副葬品として高貴な人々が亡くなった時一緒に埋葬されたりと、神秘的な力を持つと信じられてきました。その後シルクロードから中国へ伝わり、伝統的なガラス工芸の技術があったイタリアのベネチアでは、宝石のような価値があるとんぼ玉が製造されるようになります。これは「トレードビーズ(交易玉)」と呼ばれ、宝石や金と交換されました。

日本では江戸時代に大流行し、煙草入れの袋の紐を締めるためや、女性のかんざしや帯留めに使われました。当時のオシャレ小物としてアクセサリーにしたり、組み合わせでコーディネートを楽しみ、オシャレを競い合っていました。しかし、とんぼ玉は贅沢品として幕府に禁止されたこともあるなど、小さいながらも高価な宝石のような存在だったのです。日本独特の四季の風景を表した色彩が使われているものは貴重で、とても高い価値がある場合があります。また、製造の都合上、直線のデザインが一番難しいとされるので、鑑賞の際に参考にしてみると良いでしょう。

【ピカソの壁画に思う、アートの公共性】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

やっと夏らしくなったと少し嬉しかったのですが、もう暑すぎて弱っています。モンスーンから亜熱帯に変わってしまったような日本ですが、灼熱の都会の中でさわやかな北欧の夏に思いを馳せています。

ノルウェー・オスロの政府庁舎に描かれたピカソ(1881〜1973年)の壁画が、7月28日に撤去されました。壁画は、ピカソとノルウェーのアーティストの合作で、『漁師』と『カモメ』の2作品。特に建物外壁にサンドブラストによって描かれた『漁師』は、パブリック・アートとして人気が高く、鑑賞スポットとしても有名だったようです。

この壁画が描かれた庁舎は、2011年にテロリストの爆弾によって被害を受けたことで、建て替えられることになったのですが、解体をめぐっては市民からさまざまな反対の声があがったそうです。その理由は、建築遺産としての保存やテロに屈しなかった象徴としてなどなど。市民に愛されていた建物だったんですね。

さらに、アメリカのニューヨーク近代美術館(MoMa)もノルウェー政府に対して、解体見直しの申し立てを行いました。MoMaの申し入れは、ピカソのサンドブラストによる壁画という希少芸術の保護という観点だったようですが、この一連の流れを知って、パブリック・アートに対しての欧米の文化的な懐の深さのようなものを感じました。

パブリック・アートは、日常空間の中にあって人々が共有体験として楽しむもの。当然作品のテーマやモチーフも公共性を意識したものに変わり、楽しみ方もその他のアート作品とは大きく異なるように思います。

日本では、郊外の比較的新しい大きめの公園などに、ちょっと目を引く彫刻作品などを発見することも多くなりましたが、ごくごく身近にあって人々に愛され、大切にされているパブリック・アートというと、ピンとくるものがありません。

ちょっとニュアンスは異なりますが、渋谷駅前のハチ公広場にあった青ガエル(東急系車両の休憩所)などは、移転がニュースになるほどでしたから、ひょっとすると欧米のパブリック・アート作品に近い愛され方だったのかもしれません。

人々に大切にされるパブリック・アートが、広く社会に根付いていくためには、アートがもっと暮らしの中に溶け込んで、身近になっていくことが先決なのでしょうね。 サムライオークションは、アートが人々の暮らしの身近になるように、微力ながら頑張っていきたいと思います!

【現代アートの役割は《既成概念》を壊すこと】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

7月16日、《ろくでなし子》さんが《プロジェクトアート》だと主張する一連の作品・制作工程に対して、最高裁判所でわいせつ性が認定され、罰金刑が確定しました。罪状は『わいせつ電磁的記録等送信領布罪』です。

利休は、ろくでなし子さんやその作品について、特に思い入れはありません(笑)。ただ、このニュースに接した時、日本の司法は進化していないんだなと感じました。だって、ネットには無修正の動画がいくらでも流れているし、この作品が社会に害悪をまきちらしているようにはとても思えないからです。日本のベスト&ブライテストのハズなんですが、何かズレているなと。

日本ではこれまでにも、芸術性とわいせつ性が争点になった裁判はいくつかあります。大島渚監督の映画『愛のコリーダ』などが有名ですが、それらの法律的な解釈ではなく、ここではそもそもアートとは何か、その本質について少し考えてみたいと思います。

まず、アートには多様性、多面性があります。表現方法も多種多様であり、時代とともにその概念も変化してきました。だから全ての人間にとっての《正解》のようなものは、なかなか難しい。ただ、今回の判決に寄せて考えた時、現代アートの持つ重要な役割の一つは、同時代人が持っている《既成概念を壊す》ということがあると思います。

それは、アーティスト自身が自らの欠落感を埋めて、生き残るためだったのかもしれません。または、遠く離れた誰かを応援するために、何かを破壊する創作のこともあったでしょう。それらは、その時代、その社会ごとの常識とされているものについて、疑問を投げかけるものだったはずです。

言葉を発するのが難しいマジョリティに対して、おかしいぞと訴えるメッセージ。大きなチカラを持ち続ける偉大な作品もありますし、身近な一人を救ったささやかな作品もさまざま存在するはずです。

かつてアートそのものに対して、疑問を投げかけたアーチストがいます。マルセル・デュシャン(1887〜1968年)です。有名な代表作《泉》は、現代美術界に大きな影響を与えた、《アートとは何か?》を考えるための、教材のような作品です。常識を疑う、壊す、そんなところに創作のモチーフは隠れているようです。

サムライオークションにも幅広い時代の、さまざまなアーティストの作品が出品されています。お時間のある時に、ぜひご覧ください!

【社会を変えるアートのチカラ《社会彫刻》】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門オークションサイト》サムライオークションの利休です。今回からブログを担当することになりました。よろしくお願いします!

ところで皆さんは、ヨーゼフ・ボイス(1921〜1986年)というアーティストをご存知でしょうか。彫刻やインスタレーション、パフォーマンスアートなど、多くの作品を残しているドイツの現代美術家です。

ボイスの提唱した概念に《社会彫刻》があります。これは『彫刻を掘るように、アートで世界は変えられる』という考え方で、社会や政治の活動の場に、アートも積極的に参加していくべきだという主張です。ボイスは、アーティストとは『自ら考え、決定し、行動する人』だと定義して、誰もがそうなれるし、社会の幸福に寄与する義務があるとまで訴えていました。

なぜボイスを思い出したかといえば、7月の大雨災害や相変わらず続くコロナ禍です。どちらも環境破壊が遠因にあることは間違いありません。自然の猛威によって社会のシステムが損なわれ続け、結果的に世界中で国家的な債務の拡大が止まらずに、半年後にどんな世界になっているのか、不安な気持ちになってしまう方も多いのではないでしょうか。

でも、そんな今だからこそ、ボイスの言葉を思い出し、自分でできる目の前のことをしっかりやろうと、前向きな気持に切り替えようとしています。ショッピングバックを持ち歩くとか、ゴミの分別をきちんとするとか、どんなに小さな行動でも、環境負荷の低減につながれば、明るい未来に貢献できる、そんな考えや行動も《アート》だとしたら、なんだか嬉しくなりませんか?

『私たちが生きるこの世界を、どのように形成し、現実化するか。それは、進化するプロセスとしての彫刻なのです。人間は皆、それをつくる芸術家なのです』(ヨーゼフ・ボイス)

アートについて『世界を変える唯一の可能性』というボイスの信念に、アート業界の末席にいる人間として、強く共感します。 サムライオークションは美術品・骨董品を通じて、アートファンのための新しいコミュニティーづくりを目指しています!