【古くなるほど美しい《漆器》】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

衣食住に関わる品々は、高品質低価格なモノが増え、結果、新調品を好む人が増えていると感じます。ひと昔前、大量生産大量消費を見直すトレンドが確かにあったのですが、デフレ環境が長くなって、時代が逆行しているように思う今日このごろです。手軽なことや効率の良さは、確かに評価されるべき面もあるとは思うのですが、そちらの価値感に少しよりすぎているのではないでしょうか。

革製品や家具など、エイジングを楽しむ文化は、モノを大切にする文化につながります。日本には古くから、漆器の存在があります。漆の木の生息域は東アジアに限られているため、漆器はアジア発の文化であり、海外では漆器全般が〈JAPAN〉と呼ばれることもあるようです。

漆を塗ると表面の強度が高くなり、防腐効果もあるために耐用年数が長くなります。同時に漆は、天然の樹液のため乾いて固まった後にも呼吸を続けて、いつまでも変化します。空気に触れ、紫外線や人の手との摩擦によって表面が透明化して明るくなり、艶が出ます。

漆に似た塗料も多くありますが、化学塗料の場合は色は変化せず、光沢がでるようなエイジングもありません。本物の漆器は、使い続けることで味わいや愛着が出てくる、コレぞまさに骨董の味わいです。 サムライオークションでは現在、漆器の出品はほとんどありませんが、エイジングに魅力がでる品なので、他の骨董と同様に、出品もファンの方も増えると良いなと思っています。

【良い出会いのために!《大江戸骨董市》】

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先週末、大江戸骨董市に行ってきました。感染者が増えてきている中、どのくらいの人出になるんだろうと思っていたのですが、やはり通常時に比べると少なめの人出でした。

でも、見て回る側からすれば、ちょうど良い混み具合。出店者さんは、ほぼほぼ会場いっぱいでしたので、道具系と陶磁器を中心に朝からお昼過ぎまで、たっぷり楽しむことができました。

改めて思いましたが、骨董市とかフリーマーケットは、老若男女が自然に出会える場所ですね。気の良い出店者さんですと、品物の善し悪しの見分け方なんかを丁寧に教えてくれます。全体の印象として、女性と若い方が増えているような気がして、少し嬉しかったですね。

ところで、目の前で積極的にお財布を開けていたのは、30代くらいの若い女性が多かったです。前々から感じていたのですが、女性の方がファッションとかライフスタイルに対して、自分らしさをしっかり自覚している人が多いですね。お化粧と関係があるのではないかと想像しているのですが、自分のスタイルがある人は、市場でも骨董や古美術品との良い出合いが多くなると思います。

自分が気に入ったモノ、素敵だと思うモノと出合うためには、まず自分のスタイルが確立している必要があります。自分の好きなモノがどういうものかわからない人には、良い出会いはなかなかありません。骨董・古美術品に興味を持った時、何か好きだなと思った対象が出てきた時には、その対象のどこに魅力を感じたのか、考えて書き出してみましょう。

沢山の品物を見て、気に入ったらその理由を考えてみる。そんな風にして経験を積んでいくことが、目利きになるということだと思います。私もまだまだ勉強中です。 サムライオークションにも、ぜひ遊びに来てください。あなたのための良い出合いを見つけてください。

【感染症が変えていく新しい世界】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

アメリカ大統領選挙が終わりました。バイデンさんは次期政権運営の準備を進めているようですが、トランプさんからの敗北宣言はなく、まだスッキリした決着は出ていません。

保護主義を強烈に推進する大統領が政権についている時にパンデミックが起こり、世界中の日常が一挙に崩壊。国際社会はグローバルに繋がり連携していく方が、明るい未来があるように思いますが、極端なリーダーの登場とそれに続く強力な感染力を持つウィルスの登場によって、世界は一瞬で閉じられてしまいました。大きな震災やテロ、2008年の金融危機よりもインパクトが大きくなってきている印象です。

ただ、これまでも人類には極限状況が訪れて、そこから何かを学び、新しい思想や文化を生み出してきた歴史があります。ルネッサンスがそうです。大きな概念なので、いろいろなとらえ方がありますが、14世紀にペストが流行って多くの人が亡くなり、社会が共有していた宗教的な価値観が徐々に損なわれ、人々がそれまでの教会ではない、新しい祈りの対象を探すようになっていく精神運動という側面を大づかみで理解しています。その中で絵画表現なども大きな影響を受けました。

今回の新型コロナウィルス感染症が人間社会に与えた影響は、経済的な面だけではなく、文化や精神面についても想像以上に大きく、来年もまだまだ変化の時期が続くでしょう。一時は全面的に閉鎖されていた美術館などは、予約制などを採用して公開され始めていますが、採算がとれているところは少ないようです。WEBを活用した、新しいアート鑑賞のあり方も模索が始まっています。

一方に大きく振られた振り子は、反対側に移動する時のエネルギーも大きくなります。良くも悪くも、新しいものが生まれる時代だと感じます。

サムライオークションも、骨董・美術品専門のネットオークションとして、新しい業態にチャレンジを続けていきます! 皆さま、どうぞよろしくお願いします!

【刺激と創作の関係性《ヘルムート・ニュートンと12人の女たち》】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門オークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

昭和世代には、ボンデージファッションの石田えりの写真集が思い出されるヘルムート・ニュートン(1920〜2004年)。生誕100年を迎えた今年、ドキュメンタリー映画『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』が12月11日から公開されます。

《▼『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』》

PLAYBOYや、ヴォーグをはじめとするフランスのファッション誌でカメラマンとして活躍したニュートン。舞台装置としてSMを活用し、フェティッシュなスタイルを確立して一世を風靡しました。その過剰で過激な演出は、賛否両論を呼びましたが、映画では当時の彼と仕事をした12人の女性達が彼との仕事の舞台裏を語っています。

ポルノまがいと評されることもあった彼の写真は、どちらかと言えば女性受けは良くないと思っていたのですが、シャーロット・ランプリングやグレイス・ジョーンズらは、ニュートンとの仕事は刺激的で示唆に富んでいたと評価しているようです。

アートを、既存の価値観に疑問を投げかけ、既成観念を壊して新しい何かを生み出すものと定義すれば、ニュートンの仕事はまさにアーティスティックでした。

刺激と創作の相関性に興味のある方は、ぜひご覧ください。モノ創りのヒントが、手に入るかもしれません。

【文化の日にアートを考える《2020年文化功労者・高橋秀》】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

11月3日は文化の日でしたが、今年の文化功労者20名の中に、美術作家高橋秀(1930年〜)がいます。御年90歳で創作意欲に溢れているコメントを読むと、素直に尊敬の気持ちが沸いてきます。

▼《美術作家 高橋秀・オフィシャルサイト

過去に見たドキュメンタリーでは、作家として売れはじめた1961年頃から、不本意な依頼が多くなり、経済的には潤っていたけれど自分本来の創作ができないことにストレスを感じて、63年にイタリアへ渡った経緯などが紹介されていました。

その後は、2004年まで40年に渡ってローマに滞在。流線状の輪郭を持つ抽象絵画を制作し、エロスの画家と評価されました。

訥々と語る言葉からは、名声やお金よりも自分の創作に打ち込みたいという意志がはっきりと伝わってくる、そんなアーティストです。売れない時に家計を支えてくれた奥様とずっと仲良く暮らしていることや、1950年代の作風などからは、ビュフェ(1928〜1999年)を想起させます。

1日中、絵を描いていても飽きないのが画家の才能だとすれば、高橋秀はまさにそんな才能に恵まれた作家。映像の中で、80代の高橋がアトリエでひとり、嬉々として創作に打ち込む姿はまるで子供のようでした。 高橋はアートについて、『人間の暮らしに決して欠かしてはならない一番基本の肥やし』と記しています。サムライオークションもその考えに全く同意。少しでも多くの人にとって、アートのある暮らしのきっかけになることを目指していきたいと思います。