【わかりやすい表現には『力』がある《バンクシー》】

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前回に続いてオークションの話題です。英国を拠点とする正体不明の覆面アーティスト、バンクシー(生年月日未公表)の作品が、10月22日にオークションハウスサザビーズで落札されました。タイトルは、『Show me the Monet』。バンクシー作品で過去最高額となる760万ポンド(約10億4000万円)で落札されました。

推定落札価格は300〜500万ポンドとされていたので、ほぼ倍近い金額での落札。前回紹介したジェイクスピアといい、予想を大きく上回る金額になるのは、やはり世界中に低金利のお金がじゃぶじゃぶと溢れているからでしょう。本来必要とされる人に届かず、情報と力のある人達のところにお金が流れていってしまうのは、このバンクシー作品同様になんとも皮肉な感じです。

この『Show me the Monet』は、2005年制作。『Crude Oils』と呼ばれる環境破壊をモチーフにした連作の中の一枚です。私はこのシリーズの中では、スコットランド出身の画家ジャック・べトリアーノ(1951年〜)の作品『The Singing Butler』のオマージュ作品の方が好きです。砂漠で踊る紳士淑女の背後で、ガスマスクを付けた作業員が原油の缶を運ぶ汚染地域というシチュエーションに、より強い風刺を感じます。 『Show me the Monet』は、モネが晩年に定住したジヴェルニーの楽園で描かれた有名な睡蓮の連作をベースに、バイロンとショッピングカートが棄てられて破壊された池が表現されています。メッセージがわかりやすく直接的なだけに、誰もが環境破壊について少し想いを巡らせるような、そんな力がある作品だと思います。バンクシーならではの作品とメッセージ。現代的で影響力のあるアーティスト、バンクシーのアクションに今後も注目してしまいます。

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