千利休・古田織部・小堀遠州の銘品がずらり! 展覧会『茶の湯の美学』開催中

東京・日本橋にある〈三井記念美術館〉では、江戸時代初期に茶の湯界をリードした「千利休」「古田織部」「小堀遠州」に焦点を当てた展覧会『茶の湯の美学―利休・織部・遠州の茶道具―』が2024年6月16日(日)まで開催されています。

「茶の湯」といえば必ず名前のあがるこの3人。彼らが生きた1500年代、ほかにも茶道に精通した武将や茶人は多くいました。それでもこの3人が著名なのは、自身の美意識を茶の湯に投じ、独自の世界を切り拓き、確立させた存在であるからです。

本展では、利休を「わび・さびの美」、織部を「破格の美」、遠州を「綺麗さび」と、各人の美意識にテーマを打って茶道具を展示。それぞれが愛した世界観や、3人の真実の姿に触れられる展覧会となっています。

パンフレットの3つの銘品が一堂に!

展示室1には、本展のパンフレットを飾る、3人の美意識の象徴や代表格ともいうべき茶碗が展示されています。これらが一堂に会され、それを比較しながら眺める楽しさたるや……!

千利休「わび・さびの美」 黒楽茶碗 銘:俊寛(重要文化財)

利休といえば「黒楽茶碗」。展示されていたのは、16世紀に長次郎によって作陶された、銘を「俊寛」とする重要文化財です。

きめ細かい黒肌に、鈍い艶。まるで溶けた溶岩が冷え固まったような“静”を感じる一方で、その内側には赤いマグマが潜んでいるような、なにか“野心”とでもいうような強烈なエネルギーを放っています。「利休好み」といわれるものは静寂のイメージが強い印象ですが、個人的には煮えたぎる熱量を感じずにはいられません。

展示室4には、利休好みの「黒楽平茶碗」(長次郎 作)も展示されています。

古田織部「破格の美」 大井戸茶碗 銘:須弥 別名:十文字

続いて、織部を主人公とする漫画『へうげもの』(山田芳裕 作)にも登場する「大井戸茶碗」が、織部を象徴する銘品として展示されています。

もともとは形が大きく、歪んでいたというこの茶碗。それを割って小さくし、十文字に継いだというエピソードは有名です。まさに「ひょうげ」と称される織部の、既成概念から脱出しようとする試みに、目元口元が緩みます。

小堀遠州「綺麗さび」 高取面取茶碗

そして、利休の茶の湯を継承しつつ、15歳から織部に茶を学んだ遠州。徳川家康・秀忠・家光の三代の将軍に仕え、茶の湯を指南した人物です。

その遠州を象徴する銘品が「高取面取茶碗」。やや薄めにつくられた端正な半筒形に、黄茶の艶めく釉薬が厚く掛かっています。その色味や釉薬の表情。率直に“美しい”です。利休や織部に比べれば、強烈すぎるほどの個性は一見感じられませんが、眺めれば眺めるほど味わい深く、端正なその姿にしばし見とれてしまいました。

自由でクリエイティブな、3人の茶の湯の世界

展示室7まで、3人の美意識を見出せる茶道具が展示されている本展。なかには、利休のわび茶の師である村田珠光・武野紹鷗・北向道陳が所持していた茶道具や、3人の消息(手紙)なども展示されています。

消息にはそれぞれの時代的背景が垣間見られ、本展の目的でもある「3人の真実の姿」を知る手がかりになり、なかなか興味深いです。

そして、さまざまな展示品を介して知る、三者三様の美学と世界観。そこには、自由でクリエイティブな茶の湯の世界が広がっていました。

一般的な茶道のイメージは、格式ばった作法や所作が求められ、少し堅苦しいイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。一方で、茶の湯の本家・3人に倣い、自分の世界観や好みを組み合わせ、もっと自由に楽しんでいい世界なのかもしれません。

16世紀に描かれた「聚楽第図屏風」も展示。聚楽第は1587年に豊臣秀吉の屋敷を兼ねた居城。秀吉が催した大規模な茶会「北野大茶湯」の会場となったことでも有名です。

伝説ともいえる銘品に出会える本展、おすすめです。ぜひGWのお出かけ候補に加えてみてはいかがでしょうか。

Information

茶の湯の美学―利休・織部・遠州の茶道具―

会期:2024年4月18日(木)〜6月16日(日)

会場:三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町2‐1‐1)

開館時間:10時〜17時(入館は16時30分まで)

休館日:月曜(但し4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)

入館料:一般1200円、大学・高校生700円、中学生以下無料

※70歳以上の方は1000円(要証明)

※リピーター割引:会期中、一般券・学生券の半券のご提示で、2回目以降は割引あり

※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料

音声ガイド:あり(貸出料650円/1台)

リンク:三井記念美術館 公式サイト