鳥居の横にある銀杏木にたくさんのギンナンが実り、秋の気配を漂わす〈湯島天満宮〉。その境内にある宝物殿にて、生涯のほとんどを湯島で過ごした幕末~明治の絵師・河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい)の展覧会「『暁斎が住まう湯島』-描かれた神仏と寺社への思い-」が開催中です。

天保2年(1831)に現在の茨木県古河市に生まれ、2歳の頃に家族で江戸へ。明治22年(1889)に亡くなるまでの59年の生涯のうち、56年間を湯島で暮らしました。
そして、暁斎の壮大で多彩な画業の多くは湯島でなされたもの。暁斎といえば、猫、烏、蛙といった身近な生き物から、ドクロ、妖怪、幽霊などの作品を思い浮かべる人も多いかもしれません。一方で、暁斎は寺社との関係も深く、神仏を題材にした作品も多く描きました。
本展は、暁斎と湯島という地域、神仏と社寺に対する思いに着目しつつ、その壮大な画業にふれる展覧会となっています。
暁斎と実子らの合作⁉ 湯島天満宮の秘蔵品
獲物を狙っているのか、それとも鑑賞者の内面性を覗いているのか……射るような視線を投げかける《虎図》。暁斎が湯島天満宮に奉納した作品で、本展のパンフレット表紙にも採用されている作品です。
衝立に仕立てられており、虎のサイズはほぼ実寸大。紙本墨画ながらも、目の部分だけ金泥が用いられ、その効果も相まって凄まじい虎の眼力。山中の岩場で気配を消しながらこちらを凝視する虎は、観る側の緊張感を誘います。

そしてもう一対の衝立には、荒狂う波間から顔を覗かせる《龍図》。天を眼差す目、鋭いかぎ爪、狩野派で学んだ力強い輪郭の岩場、怒涛……轟音が耳をつんざくような荒々しい情景が描かれています。
山に潜む虎の“静”と、波間を蜿蜒(うね)る龍の“動”。見事にそのものを描き分けたこの二作品だけでも、暁斎の画力の凄まじさに圧倒されます。
さらに、これら二つの衝立の裏側には、暁斎の次男・暁雲が描いた《鷹図》、長女・暁翠による《山水図》も。これらは父子の合作《龍虎鷹山水図》として、文京区指定有形文化財に指定されています。
毎日描き続けた、菅原道真公の豊かな表情に注目!
湯島天満宮といえば、学問の神様・菅原道真公が祀られていることで知られています。そして暁斎も、晩年となる明治20~21年の間、絵の修練として道真公を描き続けました。それらが《日課菅公図》として展示されています。

計24枚の菅公図がずらりと並んでおり、どれも平安装束をまとって座した姿。ですが、笏を持っていたり、いなかったり、穏やかな表情もあれば、ムスッとした顔、眉間にしわが寄る顔、少し白髪多めの道真公も。一枚一枚の微妙な違いを発見するのが楽しい。その日の暁斎の心模様が道真公の表情に現れているのでしょうか。
そして、明治21年5月26日に描かれた最後の菅公図だけ、なぜか“右向き”に描かれており(それ以外は全て左向き)、謎多き作品のようです。
暁斎ゆかりの地を巡る「ガイドツアー」も開催予定

ほかにも、七福神や釈迦三尊十六羅漢図などの神仏を描いた作品のほか、狂言をモチーフにした大判錦絵なども展示。暁斎がこれら神仏をモチーフにした作品に託したものとは? ぜひ展覧会で感じ取ってみてください。
そして会場には、暁斎の居住地や関係した寺社をまとめた地図も公開されています。こちらを参考にしながら秋の湯島散策も楽しそうです。
11月20日(金)には、関連イベント「暁斎の湯島を歩くまち歩きガイドツアー」も開催予定。暁斎ゆかりの地をガイドと共に歩きます。先着20名の限定イベントのため、ご興味のある方はお早目にお申込みを。

サムライオークションにも、過去に河鍋暁斎の掛け軸が出品されました。オークションは終了していますが、作品を弊社YouTube公式チャンネルにて紹介しています。ご興味のある方はぜひご視聴ください!
Information
暁斎が住まう湯島―描かれた神仏と寺社への思い―
会期:2026年9月19日(土)〜12月13日(日)
会場:湯島天満宮 宝物殿(東京都文京区湯島3-30-1)
開館時間:10時〜16時30分(※入館は16時まで)
観覧料:一般500円、大学・高校生300円、小・中学生200円、65歳以上300円
まち歩きガイドツアー 暁斎の湯島を歩く
日時:2026年11月20日(金)
時間:9時20分~11時30分頃まで
定員:20名(先着制)
※キャンセルが出た場合は随時欠員募集
※欠員が出たら随時申込フォームで確認できます
料金:1500円(宝物殿入場料含む)
申し込み:文京区観光協会公式サイトよりご確認ください



























