【まだまだ“お花見”を楽しみたい方へ!「桜」がテーマの日本画展『桜花賞展』開催中。5月14日まで】

関東ではすっかり桜の花が散り、新緑の季節らしい風景が広がってきています。東北や北海道辺りではまだ桜が楽しめる頃でしょうか。

ほんのわずかな期間のお楽しみである桜の開花。「満開の桜をじっくり楽しむ時間が持てなかった」という方や、名残惜しさで「もっと桜を楽しみたかった」という方もいるのでは?

そんな方に朗報です。東京都目黒にある〈郷さくら美術館〉では、桜を主題とした展覧会『第10回 郷さくら美術館 桜花賞展』が、2023年5月14日(日)まで開催されています。

本展は、今後の活躍が期待される日本画家30名に「桜」をテーマにした作品の制作を依頼し、それらを一同に展示するコンペティション形式の展覧会。作品のなかから大賞、優秀賞、奨励賞が選出されています。

さらに、同館が所蔵する高名な日本画家の桜屏風9点を展示した『桜百景vol.30』も同時開催。併せて39点もの見ごたえたっぷりの桜作品が並び、改めて「お花見」を楽しむような内容になっています。

本展は3フロアに分けて展示が行われており、1階には『桜百景vol.30』の9作品が。 入館してすぐ目に飛び込んできたのは、日本画家・中島千波さんの大作『櫻雲の目黒川』。四曲一隻の屏風いっぱいに満開の桜が描かれています。

目黒川にかかる橋の欄干の緋、川の両側に植栽された緑、晴天の青、どこまでも続くような奥行のある桜色のグラデーション。作品に近づいてみると、岩絵具で描かれる花びら一枚一枚の玻璃のような透明感が、まるで本物の花びらのよう。日本画ならではの繊細な奥ゆかしさに小さな感動を覚えました。また、桜というモチーフを日本画で描くことの意義を、この作品に見た気がしました。

続いて、福島県の「三春滝桜」をモチーフにした、牧進さん、平松礼二さん、林潤一さんの大屏風3点が並び、その迫力たるや! 今まさに満開の桜に立ち合えているような感動をもたらしてくれます。

ほかにも日本画壇を代表する画家の作品が1階を埋め尽くし、もうこのフロアだけでもかなり心満たされる思いです。

さて、2~3階には、本企画の大テーマである「桜花賞展」の作品が並びます。

満開の夜桜をダイナミックに描く人、薄曇りに咲く桜を淡く儚く境界線も曖昧に描く人、葉桜に美しさを見出す人、神話にインスピレーションを得た桜の画を描く人、歌舞伎座に舞う桜吹雪を描く人――そこに並ぶ作品は、雰囲気も、技法も、解釈もさまざま。

今回のコンペティションで大賞を受賞したのは、1997年生まれ・滋賀県出身の工藤彩さん。『桜の間』と名づけられた作品のモチーフは、枝をしならせるような満開の桜ではなく、太い幹にひっそりと顔をのぞかせる数輪の花。

樹齢を重ねた古木でしょうか。ごつごつとした老齢の木肌に芽吹いた新しい命。苔や蔦などのさまざまな生き物たちの共生の場。見上げてばかりの人の目には映らない、静寂のなかのたくましい生は、美しい“詩”のように感じ、心打たれました。

どれも魅力的な作品ばかりですが、個人的にすてきだなと感じた作品はこちら。明壁美幸さんの『よろこびが咲き渡る』です。

福島県白河市の南湖公園にあるベニシダレを描いたという作品。薄曇りのある日、いつもよりも少し温まった風に春の到来を肌身で感じる。そんな喜びをこの作品で思い返し、見ているだけでワクワクした気持ちになりました。

また、小俣花名さんの『旅立ちの日』は、中学生の頃に亡くなった父との記憶を描いた作品。手毬のようにポンポンと咲く桜や、幼い頃の体験や思い出が曼荼羅のような緻密さで描かれ、ほかの作品とは違った趣きのユニークさが印象的でした。

さまざまな角度から、さまざまな構図で、それぞれの思いを託し、描かれた30の桜作品。日本人にとっての桜の重要性、必要性などを改めて思うような、そんな展覧会でした。

今回の展覧会を行う〈郷さくら美術館〉は、昭和以降の生まれの日本画家の作品を中心にコレクションし、現代日本画の魅力に触れる場として設立された美術館です。活躍中の日本画家の支援、新たな才能の発掘・育成にも取り組んでいます。

今回の『桜花賞展』以外にも、毎回テーマを設けたコレクション展が年に4・5回開催されています。同館が誇る珠玉の日本画コレクションを目にし、心豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

Information

第10回 郷さくら美術館 桜花賞展

場所:郷さくら美術館(東京都目黒区上目黒1-7-13)

会期:2023年3月7日(火)~5月14日(日)

開館時間:10時~17時(最終入館16時30分)

休館日:月曜

TEL:03-3496-1771

サイト:「郷さくら美術館」HPはこちら

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【文房清玩の目利き〈百八研齋〉渡邉久雄さんを訪ねて】

2月某日、〈百八研齋〉の渡邉久雄さんを訪ねました。

「文房清玩(注)」の目利きとして知られる渡邉さん。15歳から奉公していた浅草の書道用品専門店〈宝研堂〉で古硯と出合い、見たことのない色、姿形、彫刻などに魅了されたといいます。以降、硯、筆、墨、印材など、文房にまつわる多くの名品・珍品を蒐集。定年までの50年間、公私共に文房清玩と歩んできました。

文房へ向けられた情熱は退職後もなお冷めやらず、むしろ渡邉さんの“人生”ともいうべき大趣味に。膨大なコレクションを自宅の書斎に展示し、屋号を〈百八研齋〉と定め、文房の愛好家へとひらいてきました。さらに、東京都葛飾区立石に店舗を構え、多くの人に文房清玩の魅力を発信しています。

(注:文房清玩とは、筆墨硯紙といった文房四宝に加え、水差し、硯屏、文鎮、印材など、中国の文人が賞玩した品々のこと)

今回、店舗だけでなく、自宅の書斎兼ギャラリーに通していただき、渡邉さんのさまざまなコレクションを拝見。「すばらしいものを、数多く見るということが大切なんです」と、書斎の片隅から、奥の倉庫から、2階から、何度も部屋を出入りしては、数多くの名品を広げてくださいました。

そのうちのひとつがこちら。1970年代に彫られた、端渓石の「雲龍有眼硯」です。

比較的年数の若い、縦横30センチ程の大ぶりな硯ですが、龍の口元、爪、鱗に至るまで妥協など一切ない、ミリ単位の緻密な彫り。触れるのが怖いほどです。

「私もこの硯を見たときは、鳥肌が立ちました」と渡邉さん。

彫りの凄まじさもさることながら、突然表れる石眼(石の紋様)を、なぜこのように自然な形でモチーフに含め活かすことができるのか……手がけた職人の技術力の高さと、圧倒的な感性に驚愕しっぱなしの作品でした。

中国へ何度も足を運び、硯の産地を訪ね、現地の人とさまざまな交友関係を築いてきた渡邉さん。その審美眼と情熱を認められているからこそ入手できた貴重な品も。

こちらは安徽省の歙州硯(きゅうじゅうけん)の産地を訪れた際に譲り受けた「歙州硯石紋三十種」。世界に2点のみ存在する、貴重な資料です。

硯のほかにも、印材、墨、文化大革命前につくられたという入手困難な毛筆、中国の吉祥文様が描かれた蝋箋など、姿の美しい品々がずらり。

できるならば、ひとつひとつを時間をかけてじっくり眺めて過ごしたい……。そんな欲望をふつふつと湧かせる書斎は、もはや美術館にも勝るとも劣らない、唯一無二の場所だと感じました。

渡邉さんの活動は、中国のすばらしき品々の蒐集だけではありません。日本の文房にまつわる作家の偉業を後世に伝えていきたいと、趣向を凝らした資料制作にも力を入れています。

下の写真は、近代日本の篆刻家・中村蘭台、二代目蘭台秋をはじめ、大正・昭和期に活動した約60名の印人の篆刻作品をまとめた『百八研齋蔵印選』。約20年かけて印を100点ほど集め、篆刻印、側款、画をつけ、8巻にもなる資料を制作しました。

また、現在取り組んでいるのは、明治期に紀州の墨づくりを復興させ、多くの銘墨を残した鈴木梅仙の「梅仙墨」の資料制作。数年をかけて20点ほど蒐集し、『百八研齋蔵印選』とは趣向を変えた資料づくりを進めているのだとか。

希少で貴重な品をひとつでも多く後世に残し、文房清玩の文化や魅力を永続的に伝えていきたい、というのが渡邉さんの切なる願い。「どうか譲ってほしい」と申し出る客人もいるようですが、一度手放せば二度と手に入れることは不可能に近いものばかり。だからこそ手放せない、といいます。

そして、若い人にこそ、これらのコレクションを見て、触って欲しいという渡邉さん。

「今は硯も墨も売れなくなっている時代。筆の職人さんなんかは年々少なくなっています。でも、こういった姿形の美しいものがたくさんあるということを、若い人たちにも知ってもらって、たくさん見て、目を肥やして、文房清玩の世界に興味を持ってもらいたい。文化を繋いでいってもらいたい。若い人にこそ、間近で触れられる資料として、どんどん見せていきたいんです」

年内には渡邉さんが所蔵する108点のコレクションを紹介する書籍を上梓する予定。さらに今後、個展の開催も視野に入れているのだとか。

日本の文房界において大きな偉業と名を残すことは間違いない渡邉さん。これからの活動にも注目必至です。

Information

百八研齋

住所:東京都葛飾区東立石3-25-14

TEL:03‐5875‐7590

営業時間:10時~18時(日曜は17時まで)

定休日:月曜、祝日

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【アーツ千代田3331にて開催された「末広町蚤の市」】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの井戸です。

先日1月15日(日)に行われた【末広町蚤の市】に遊びに行ってきました。
今回は半日(12:00~18:00)のみの開催で行われ、入場待機組も発生する大盛況な企画となっていました。

会場となる〈アーツ千代田3331〉は2010年に旧千代田区立練成中学校を改修して誕生したアートスポット。アート、建築、デザイン、歴史などのカルチャーの発信を行っている下町を代表するカルチャースポットとしてひらかれています。

校舎を改修しているだけなので、施設内も学校の面影そのままに、訪れた誰しもがノスタルジックに浸るポイントだと思います。

入口のインフォメーション右手には玄関口という意味がこもっているのでしょう、下駄箱が設置してあり、何十種類というアート展などのチラシが置いてあります。
(サムライオークションのチラシも置かせてもらったのでよろしければお手に取ってみてください。)

下駄箱を抜け、蚤の市の会場となる半地下へ階段を下ります。
…不思議ですね、利用していた学校ではないのに学生時代のシーンなど思い出してしまいます。

そんなことはさておき!

会場は2教室を使った14店舗で構成されていました。
人が多かったので写真撮影は自粛しましたが、各業者さん独自の感性に基づいたセレクトをしていて興味深く、生活骨董に対する需要の高さを認識しました。

そんな中、あるブースに金箔、銀箔があしらってある数枚の和紙のカードに目を奪われました。どういったモノか店主さんに尋ねたところ

「江戸期頃のカルタの中に混ざっていたモノで、どういう用途かは不明です。
ただ、見た目もお洒落だし持っていても飾ってもおもしろいんじゃないかなって思います。」

この言葉を聞き、私の中で引っ掛かっていたモノがほどけました。

従来の私は「〇〇は〇〇として使わなければいけない」と固定概念の塊のような感情がありました。が、違う見方、使い方、感性があるんだなと。

見方や感性を変えることによって、この和紙のカードの使いどころが沢山浮かんできます。もう使われなくなった古道具でも、持ち主のプロデュースでどんなモノにでもうまれ変わることができる。

蚤の市は”自分にはこういう感性はなかった!””こういう使い方もできていいね!”など発見と交流の場。そんな場所だと私の中で認識しました。

「常識からの逸脱」

この業者さんに出会えたことで、自分の殻が破れたそんな出会いに感謝です。ありがとうございます。この目線で他の商品を見ていると色々な想像ができ、時間を忘れとても楽しい催事になりました。

あいにく、今年の3月をもって〈アーツ千代田3331〉は閉館となり、長い歴史に一旦幕を閉じます。
現段階では、新たな施設の場所や内容は未定。何か情報があるとしたらSNSで告知されると思いますので、要チェックです。
長い間、お疲れ様でした。アーツ千代田3331のカムバックを楽しみに待ちたいと思います。

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【江戸に華やぐヴェネチアの「粋」に酔う「彩のガラス達 魅惑の世界」を〈東京芝 とうふ屋うかい〉で開催中】

東京タワーの麓に佇むとうふ会席料理店〈東京 芝 とうふ屋うかい〉。2023年12月20日(火)~2023年3月26日(日)の期間、同店内にて「彩のガラスたち 魅惑の世界 ―江戸に華やぐヴェネチアの『粋』―」と題したヴェネチアン・グラスの展示・販売会が行なわれています。 うかいグループが運営する〈箱根ガラスの森美術館〉のバイヤーがセレクトした、イタリア・ヴェネチアの名匠による希少価値の高い商品をさまざまに堪能できるとあり、先日〈東京 芝 とうふ屋うかい〉へお邪魔してきました。

と、ヴェネチアン・グラスの話の前に。

〈東京 芝 とうふ屋うかい〉を初めて訪れた私は、「本当にここは東京なのだろうか……?」とうろたえるほど、喧噪とは無縁の、まさに非日常という言葉がピタリと当てはまる空間に圧倒されてしまいました。

約2000坪の敷地を有する同店。長屋門をくぐって石畳を進み、庭師さんが毎日手を掛けているであろう美しい日本庭園に心を奪われながら店舗へ。

庭園ではさまざまな和の草木が枝葉を揺らしており、その彩りや配置は、花の時期、紅葉期、冬枯れ期などを徹底的に考慮したものであることは明らか。店舗に入る前から、創設者の並々ならぬこだわりや美への探求を感じ、ヴェネチアン・グラスの展示はもちろん、建造物や館内の設えにも期待は膨らむ一方でした。 さて、今回の訪問はヴェネチアン・グラスの鑑賞が目的。食事の予定の無い私が入店してよいのか少し不安でしたが、フロントの方はほかのお客様と分け隔てなくにこやかに案内してくださり、そのホスピタリティも感動ものです。

さて、本題の「彩のガラスたち 魅惑の世界」!

フロント横に設けられた特選ギャラリーには、さまざまなスタイルの優美なガラス作品がずらり。本展では主に、ヴェネチアン・グラスの3大技法とされる「ミルフィオリ」「レースガラス」「ハンドワーク」が展示されています。 なかでも、個人的に印象深かったのが「レースガラス」。

ヴェネチア発祥という説があるレースの編み物(諸説あり)。これに着想を得て編み出されたレースガラスは、かつての王侯貴族がこぞって買い集めた、ヴェネチアンガラスの代名詞です。

今回展示されているレースガラスは、1400年代から脈々と技術を継承し、ヴェネチア共和国より貴族の称号を下賜された名工「バラリン工房」の作品。繊細なレース模様と優美な姿のガラスは、レースの折り重なる白いドレスを纏った貴婦人を思わせる、なんともいえない高潔さを放っていました。この技術を編み出した職人、それらを継承してきた職人へ、心から敬意を表したくなる、そんな作品たち。すっかり魅了されてしまいました。 じつは後継者不足により、バラリン工房は2020年に閉鎖。現存する作品は今後価値が上がっていくかもしれません。

期間中は〈箱根ガラスの森美術館〉のスタッフが在廊し、さまざまな話を伺うことができます。なかでも興味深かったのは、ヴェネチアン・グラスの発展にまつわる歴史的背景の話でした。

ヴェネチア共和国というひとつの国家が形成されていた時代、ガラス産業のさらなる発展と、高度な技術の流出を防ぐため、ヴェネチア本島の北東に位置する「ムラーノ島」という小さな島に、ガラス製造にかかわる人々を強制移住させ、幽閉。「島外に脱出する者には死罪を課す」という厳しい法令をしいたといいます。国家繁栄のためとはいえ、なんとも自由度のない、窮屈な掟……。死を覚悟して逃げ出す職人もいたのだとか。

一方で、小豆島ほどの小さな島のなかに工房が密集したことで、それぞれの匠が切磋琢磨し、高度なガラス工芸技法が確立され、世界に名を馳せる地域ブランドが生まれたのも事実です。

ちなみに、潟(かた)の上に築かれたヴェネチア。そんな場所にガラスの原料となる珪砂やソーダ石灰があるとは思えませんよね。なぜ、水の都でガラス製造が盛んになったのか? そんな歴史的背景も、スタッフの方が教えてくださいます。

作品が展示されている特選ギャラリーの一画には、日本庭園を眺める目的で設えられた三つの間があり、ここにヴェネチアン・グラス作品が多く展示されています。

意匠のある建具を取り入れた趣きのある書院造の間と、ガラス襖から覗く日本庭園。そこに西洋の優美なガラス作品が並ぶさまは、かつて南蛮貿易で栄えた商人の邸宅や貴賓室はこんなふうだったのではないか……と想像を巡らせたくなる趣きです。 かつての江戸の町は、網目のように水路が巡らされ「東洋のヴェネチア」と呼ばれていました。そんな共通点にも思いを馳せながら、ヴェネチアン・グラスの輝きと、古きよき日本の風情、こだわりを貫くうかいのお料理、スタッフの心づくしのホスピタリティに酔いしれてみてはいかがでしょうか。

《Information》

「彩のガラスたち 魅惑の世界 ―江戸に華やぐヴェネチアの『粋』―」

場所:東京 芝 とうふ屋うかい(東京都港区芝公園4-4-13)

会期:2022年12月20日(火)~2023年3月26日(日)

営業時間:平日 11:45~15:00(14:30 L.O.)|17:00~22:00(19:00 L.O.)

     土日祝 11:00~22:00(19:00 L.O.)

TEL:03-3436-1028 リンク:東京 芝 とうふ屋うかい 公式サイト

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【なぜ街の骨董屋さんは潰れないのか】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

街の一角でたまに見かける骨董屋さんですが、薄暗い感じで営業しているのかしていないのか分かりにくく、入りにくい雰囲気が漂っている場合が多い印象です。お客さんで賑わっている様子が全くないのに、なぜ骨董屋さんが潰れないのかナゾに迫ります。

骨董屋さんが潰れない理由①:安くて良いものを仕入れる場所をいくつか確保している

お店でお客様から買い取るのも立派な仕入れになりますが、それ以外でもメルカリやヤフオクのフリマアプリ、閉鎖的な会員制の骨董品オークションや道具市場など色々あります。とにかく安くて良いもの、価値あるものをしっかりと仕入れる所は潰れない骨董屋の特徴になります。

骨董屋さんが潰れない理由②:定期的に通ってくれる太客や1回の買い物で何千万使ってくれる中国人客がたまにくる

昔から付き合いのある骨董収集家の人との繋がりや1回の買い物で100万~1000万単位で買い物をしてくれる中国人客の存在があります。

中国人客が来る理由としては、1970年代に文化大革命と呼ばれる政治闘争が起こり、その際に中国国内の貴重な美術品が国外へ流出し、大半が日本人収集家の手に渡りました。2000年代後半から中国の経済が成長し、国外に売られた骨董品を買い戻す動きが盛んになり、日本の骨董屋や催事に買い付けに来ているようです。

骨董屋さんが潰れない理由③:利益率が高い

なんといっても利益率が高いのが潰れない理由の大きな要因でしょう。「安く仕入れて、高く売る」商売の基本に忠実で素晴らしいビジネスモデルとなっているようです。

以上の3つの理由から街の骨董屋さんは潰れないといえるでしょう。 どんなに薄暗くても、どんなに人がいなくても、1回の単価が高く、固定客や中国人客が定期的に来てくれれば成り立ってしまうようです。

※あくまで個人的な見解ですので、こうでない骨董屋さんもいらっしゃると思います。

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【中国で骨董ビジネスが成長?若者にも骨董人気が上昇しているワケとは?】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

近年中国で骨董ビジネスが成長しています。とあるオンライン取引プラットフォームが香港上場を申請したことでも話題になっています。

今回はなぜ骨董人気が上昇しているのかを考察していきます。

骨董品の市場は年々右肩上がりに成長していますが、それ以上にオンラインでの骨董品市場がものすごいスピードで成長しています。

中国でオンラインでの骨董品市場が成長できた理由は大きく3つ挙げられます。

一つ目は「ライブコマース配信」が広がったことです。

中国ではライブコマース配信を使って、無料のオンライン鑑定をライブ中継しながらその場で行っています。リモート鑑定になるので、鑑定書までは出せませんがあからさまな偽物かどうかの判別はできるようで視聴者もそれを見て楽しんでいるようです。

日本でいう「お宝鑑定団」みたいなことをネット配信しているということでしょう。視聴者も段々と骨董品に興味が沸いてハマっていく人が増えているようです。

二つ目は「初心者と熟練者の差別化」です。

初心者には入りやすいように2000円程度の状態の良い中古を提供することで気軽に始めてもらえやすい環境を整えつつ、熟練者にも満足してもらえるように高額商品の出品も豊富に取り揃えています。

三つ目は「若者の参入」です。

若者が参入してきた理由としては、コロナ渦での外出自粛や国潮と呼ばれる自国のモノを見直すという現象によってでしょう。レアな中国製のフィギュアや昔の中国製のモノなどに興味を持つ若者が増えているようです。 以上のことから骨董品ビジネスが大成長している中国ですが、日本にもこのブームが来るのでしょうか。

サムライオークションも全世代で盛り上がっていけるよう少しでも尽力して参ります。サムライオークションはこちら

【三井記念美術館「大蒔絵展」/静嘉堂「響きあう名宝展」】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの井戸です。

11月13日(日)まで三井記念美術館にて開催されている「大蒔絵展」
12月18日(日)まで丸の内の静嘉堂にて開催されている「響きあう名宝展」に遊びに行ってきました。

【大蒔絵展】
先ず始めに言いたいのが、展示内容がボリューミーなため、時間に余裕が有る日に行ってください。隙間時間に足を運ぶのはお勧めしません。

さて、今回の大蒔絵展はMOA美術館、三井記念美術館、徳川美術館の3館共同開催とのことで、入口の平安時代から出口の現代に至るまで時系列にて蒔絵や逸品を展示しています。

豪華で鮮やかな蒔絵箱の所持者はさぞ愛着が湧き大切に使われていたことでしょう。
”本当に何百年も前の品物だろうか”と思いたくなるクオリティに釘付けです。日本伝統工芸の極みです。

個人的に気に入った作品は蒔絵ではなく、酒井抱一の掛軸でした。
とても上品で繊細な画に没入させられました。

大蒔絵展、東京博物館の国宝展に合わせてきたかのような内容で大変満足しました。

どうしても都合がつかず行けないと諦めている方は、公式よりVRで無料公開していますのでこの機会にご覧になってみてください。(VRゴーグルが無くても視聴可能です。)

大蒔絵展東京会場無料公開

【響きあう名宝展】
世田谷から丸の内への移転記念として行われた名宝展。半予約制で平日にも関わらず沢山のお客さんで賑わっていました。
内観も豪華な作り込みになっており、作り込みをただ眺めていらっしゃる方も居た程です。

今回の目玉である曜変天目を初めてお目にかかりました。
”宇宙の器”の名の通り眼福でございます。言葉が何も出てきません。
照明の具合で見方が変わるとのことだったので、機会あれば違う演出で見てみたいものです。

足を運べない方には朗報!見逃し配信サービスのTVer.で名宝展を期間限定で配信しています。是非ご覧になってみてください。

ぶらぶら美術・博物館

また、我々の美術・骨董インターネットオークション”サムライオークション”も機会ございましたら覗いてみてください。サムライオークションはこちら

【アントニオ猪木関連グッズが人気急上昇!?改めて評価される偉人たち】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

2022年10月1日、アントニオ猪木さんが闘病の末、死去いたしました。自身のYoutubeチャンネルで闘病の様子を発信し、最後までアントニオ猪木として頑張っていましたが、残念な結果になってしまいました。79歳でした。

そんな中、ある一つのムーヴメントが起きているように感じます。

それは死後、アントニオ猪木さんの関連グッズの売れ行きが好調になっているということです。フィギュアや昔のレトログッズなどがたくさん販売されており、しかも結構な高額で売れています。

恐らくは忘れないための形のある思い出として購入している方が多いのでしょうが、改めて人気の高さを再認識させられます。生前に人気が高ければ高いほど、死後も高値でモノが取引されるのはアントニオ猪木さんだけに留まらず、美術作者などにも当てはまるように感じます。生前から人気の高い画家などは、死後にその人の作品が生産されることはないわけですから、需要が高まっても供給が追い付かずに価格が跳ね上がったりします。

価格は需要と供給によって決まると言われますが、まさにこの事でしょう。

アントニオ猪木さんのフィギュアなどももう生産はされないでしょうから、より高価になっていくと予測されます。

今回は亡くなっても、なお評価される偉人たちを考察しました。 自分が所持している作品もいつ価格や価値が変わるか分からないので常日頃から丁寧に取り扱うようにしていきましょう。

改めてアントニオ猪木さんのご冥福をお祈りいたします。

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【骨董アンティークSHOW浅草】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの井戸です。

先日、”骨董アンティークSHOW浅草”へ遊びに行ってきました。
例年通り、浅草駅から徒歩10分程の産業貿易センター台東館にて開催。
年に2回行われておりますが、コロナ禍では久しぶりの開催だったようです。

顔馴染みの業者様から、ここにしか出店しない地方の業者様まで約100店舗が顔を揃えており、来場者も多く賑わいがありました。

私感になります。
古道具などの展示が思ったより少なく、器などの陶器類の展示が全体的に目立っていました。近年、若いお客さんたちは生活に使えるお皿やカップ、酒器などを探しに来ている印象を受けます。

所謂、生活骨董とでも言いましょうか。
私も出店している浜松町骨董市も道具類はわりかし流されて行かれてしまう方が多いです。プロの皆さんは流れに敏感に反応されており、出品物や展示方法を即座に入れ替えていっています。「先日出していたモノとガラッと違う」なんて思うことは多々あります。

ある業者様とお話していると、”アピールする対象を変えた”との戦略も伺いました。
デジタルに移行して娯楽のコンテンツも増え、モノへの関心が薄くなった昨今。
このように一般の方も来場する催事には更なる独自の工夫が必要になってくるのだと肌で感じました。

ただ、そうは言っても催事はお祭り!現場の空気をを楽しむのが在るべき姿!
次の開催も待ちきれません。

サムライオークションでも様々な骨董品が出品されています。是非ご利用ください。サムライオークションはこちら

【やまと古民具骨董市】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの井戸です。

先日、”やまと古民具骨董市”へ行ってきました。
コロナ前は約300店舗が出店する催事でしたが、現在は半数ほどに減らし今年の6月から再開。大和駅前に賑わいを取り戻しています。

初めての訪問だったのですが、朝から夕方まで人が絶えることはありませんでした。天候に恵まれ駅前ということも大きな要因とは思いますが、一般のお客さんの多いこと多いこと。
言うなれば”神奈川版大江戸骨董市”とでも言いましょうか。古道具から古裂、生活骨董、アンティーク品と幅広いラインナップが並んでおり似たような雰囲気を感じます。

知り合いの業者様のブースに少し立たせてもらいました。
品を手に取り感触を確かめ、生活で実際に使う姿をイメージ。(このイメージする時間が贅沢な時間だと私は思います)「これだ」というような表情を浮かべられ購入されていくお客さんたち。
モノとの出会いを沢山見届けさせていただき有意義な時間です。商売人冥利に尽きます。

また、当たり前のことかもしれませんが、お客さんも出店業者さんもお互いが「ありがとう」という感謝の言葉を交わすシーンが多く見られました。
普段の生活でこれを実際にできていない人って多いと感じています。
そんな当たり前が自然に出てくる暖かい催事を体感し、”やまと古民具骨董市”が好きになりました。

毎月第3土曜日に開催されており、急行を使えば新宿から40分程で到着します。まだ行ったことがない方も是非”やまと古民具骨董市”に足を運んでみてください。

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