陶器と磁器の違い②【 磁器 】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフ井戸です。

骨董品を語るうえでは欠かせない「陶器」と「磁器」の違いを見ていきます。

前回は「陶器」についてのお話でしたが、今回は「磁器」の紹介です。

磁器とは

磁器とは、陶石という岩石を削って粉にしたものを粘土と混ぜて固めて形にした器のことです。陶石はガラスの材料で使われる長石を含むため、焼き上がった後に半ガラス質となります。1300度前後の比較的高い温度で焼かれ、陶器に比べると硬くなる性質があります。しかし硬いとは言っても、一箇所に衝撃が集まるとヒビが入って割れやすいので、扱いには注意しましょう。

磁器は江戸時代頃から作られるようになったもので、佐賀の有田で陶石が発見されたことから製作が始まったと言われており、そこから現在の陶磁器の文化が形成されてきました。

磁器の特徴

・ツルツルした触り心地

・薄くて叩くと澄んだ高い音がする

という特徴があります。

焼き上がりはほとんどが白色のため、スッキリとしたキレイな印象を与え、丈夫で実用性が高いものに仕上がります。陶器に比べると、洗練された絵付けのデザインによる美しさが感じられると思います。見た目の艷やかさも均一に仕上げやすいので、洋食器にもよく使用されます。硬度が高く表面が滑らかなのでナイフやフォークとの相性も良いです。しかし、陶器と違って熱伝導率が高く熱しやすいので、直接触れて器を持つのは大変です。そのため、ティーカップのような取っ手が必要となってきます。日本とヨーロッパの食のスタイルが、陶磁器によってわかりやすく表れていますね。

まとめ

2回に分けて「陶器」と「磁器」の違いを紹介してきました。

意識しないと何となく同じようなものに見えてしまいますが、原料や性質、特徴などをそれぞれで考えてみると違いが理解しやすいのではないでしょうか。

【日常の中で、身近なアートを楽しむ!】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

家で過ごさざるをえない時間が増えて、どのように楽しく過ごすかがメディアで話題になっています。老若男女、居住地域、育ってきた背景など、いろんな過ごし方があってユニークですね。

お子さんがいるご家庭のトピックが多いですが、一人暮らしの大人なら、どんなイメージでしょうか。読書、映画、料理…とそんなところが思い浮かびます。でも、心がザワザワと不安定な今だからこそ、心を落ち着かせるアート鑑賞はいかがでしょうか。鑑賞と言っても、美術館もお休みですし、出ていくワケではありません。厳密には〈鑑賞〉というより〈創作〉に近いですね。まずは、今のお部屋に飾りたい、一緒に過ごしたいアートとはどんなものかを考えてみましょう。

まずはどんな作品を、どこに置くか。どんな小さなお部屋でも、あなたにとっての落ち着く場所とか、ふとした時に目がいってしまう場所がきっとあるはず。そこに少しだけスペースを作って、自分の好きなモノを飾ってみましょう。小さなフィギュアとか、一輪挿しとか。自分で描いた小さなイラストや刺繍の作品、もちろん写真もいいですね。今はお手軽な値段で素敵なフレームが沢山あります。毎日忙しく過ごしていると、自分の部屋でアートを楽しむなんて考えたこともなかったかもしれませんが、何事もまずは想像してみることからはじまります。

有名なコレクターや偉い美術評論家の先生たちも、最初は自分の身近にあった〈好きなもの〉を、手元に〈飾って楽しむ〉ところからスタートしているはずです。それは、美術の歴史も同じです。ユーラシア大陸で人類が実用の道具に、本来不必要な細工を加えはじめたのは、およそ1万5000年前。縄文人が使っていた土器や土偶の不思議なカタチには、当時の人々が感じる心地よさとか、心を動かす感覚が備わっているのだと思います。きっと、生活の中でふとした余裕が出来た時、一人の縄文人の中にアートを楽しむ気持ちが生まれたのでしょう。

皆さんの中にも、まだ眠っているアートを楽しむ気持ちがあるはずです。大いに刺激して、もっと日常生活を豊かにしたいですね。そのヒントは、サムライオークションにあります! お時間がある時に、ぜひ公開作品をご覧になってください。

【クリムト《接吻》に愛を考える】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門オークションサイト》サムライオークションです。

相変わらず新型コロナウィルスの勢いが止まらず、緊急事態宣言が発令されました。多くの美術館は休館になっていますし、外出自粛要請で社会が萎縮しています。そんな中、在宅勤務になったことが遠因による家庭内暴力があり、奥さんが亡くなって夫が逮捕されるという痛ましい事件が報道されました。

世も末だなという想いから、思考は19世紀末のヨーロッパへ飛びます。科学技術の発達で大きく変化する世の中に、人々が不安を抱く中、オーストリアで愛のカタチを描き続けた画家、グスタフ・クリムト(1862〜1918年)を思い出しました。

クリムトの家には、多い時で15人もの女性が同居していました。そのほとんどがモデルであり、愛人だったそうです。若くして装飾家として名声を得たクリムトですが、画家としての作品のモチーフは、一貫して《愛》なかでも《エロス》と《死》です。

官能的なクリムトの作品の中で、特に人気が高いのが《接吻》。モデルは、エミーリエ・フレーゲ(1874〜1952年)。ブティック経営で成功し、デザイナーとしても自立していました。だから、なのか、クリムトは生涯独身。死の床でもエミーリエを呼んだそうなので、最も信頼していた女性に違いないのですが、二人はいわゆる結婚という手続きはとっていません。

経済的に自立した人間同志のカップルであれば、自由な関係でいられるもの。家庭内暴力の悲劇は、どちらかがどちらかに依存する瞬間にはじまるような気がします。愛を大切に守りたければ、お互いが精神的、経済的に自立し続けることかもしれませんね。

陶器と磁器の違い① 【 陶器 】

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骨董品を語るうえでは欠かせない焼き物。そんな焼き物には「陶器」と「磁器」がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴を知って見分けられるようになりましょう。

今回は「陶器」の特徴を見ていきます。

陶器とは

陶器とは、陶土という粘土(地面を掘ると出る粘土層)を練って形を整えて作られた器のことです。1000度前後の比較的低い温度で焼かれ、柔らかく割れやすい性質を持ちます。

陶器は江戸時代より前から使われていましたが、その起源は原始時代の「土器」と言われています。当時は鉢のような形をしたものが多く、主に食料を保管する用途として使われていたようです。

陶器の特徴

・ザラザラした触り心地

・全体的に厚みがあり、叩くと鈍い音がする

といった特徴があります。

焼き上がりは様々な配色にすることができ、形を含め、個性豊かな表現が可能です。和食器としてよく使用され、落ち着いた温かみが感じられます。肉厚でボコボコした部分が多い傾向があり、見た目よりも軽く感じるものもあります。また、熱伝導率が低く熱しにくいため、器にお湯を入れてもすぐにはそれほど熱くなりません。この性質があるため茶碗、湯呑などの和食器には取っ手を必要とせず、日本では器を手に持って食事をする形が定着していると考えられます。さらに、冷めにくいためお鍋のような調理器具としても優秀です。

まとめ

以上が、陶器の特徴です。 日本の古い陶器は骨董価値が高いものも多く、海外でも人気があります。同じように作ったものでも独特の作品に仕上がっているものも多くあるので、自分だけのお気に入りを見つけて楽しんでみてはいかがでしょうか。

骨董の価値に影響する「キズ」の見分け方

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフ井戸です。

骨董の価値に影響する「キズ」の見分け方

骨董品で人気のある陶器や磁器。割れたり欠けたりしやすい材質なので、購入するときやオークションに出すときなど、キズが価値にどのくらい影響するかを見極めるのは難しい問題です。今回は、その中でも比較的わかりやすい「ほつ」と「へこみ」について見ていきます。湯呑を例に考えてみましょう。

価値に影響する「ほつ」

「ほつ」とは口をつける部分でよく見かける、ごく小さな欠けのことです。誰でも一度は洗いものをしているときにぶつけて欠けてしまった経験があると思います。このキズは大きく価値に影響します。使用するときに欠けた部分が口にあたる状態では気持ちよく使うことはできないので、当然価値は下がります。

価値にあまり影響しない「へこみ」

似たようなものに「へこみ」があります。これは知らない方が見ると「ほつ」と同じような欠けと思われてしまうかもしれませんが、よく見ると欠けているわけではない場合があります。湯呑でいうと、置くときにテーブルなどに接する、底の高台の部分で見られます。

この部分のキズが「ほつ」なのか「へこみ」なのかを手軽に判断する方法は、「うわぐすりが塗られているかどうか」です。製造過程でできたへこみの場合はうわぐすりが塗られているため、周囲と同じようにツヤツヤしています。この場合は、よほど大きなへこみでない限り、価値にそれほど影響しないと考えてよいでしょう。

もしも単純に欠けているのであれば、うわぐすりが塗られていた部分が無くなっている状態なので光を当てても反射しません。つまり後からできたキズ(ほつ)であると言えます。

購入する際や、オークションに出品する場合の価値判断として参考にしてみてください。