こんにちは!初心者大歓迎の《骨董・美術品専門オークションサイト》サムライオークションスタッフ井戸です。
昨今、日本のペット数が犬を超えてトップに立つほど、猫の人気が高まっています。
なぜ、こんなにも猫は人を魅了するのか。
優雅な体つきに加えて、自由で気持ちのままに動く姿には、現代社会の人々の憧れが詰まっているのかもしれません。
そんな猫をモチーフにした絵画は多いですが、その中でも代表的な作品のひとつと言っても過言ではない、菱田春草(ひしだ・しゅんそう、1874年~1911年)の「黒き猫」を今回ご紹介します。 ただいまサムライオークションにて、貴重な肉筆の絹本が出品されています。
《作品はこちらです。出品者:マサレオsuZuki@なんでも鑑定団FAN 様》
菱田春草は若い頃から絵画に高い才能を示し、東京美術学校でも一目置かれる存在でした。彼は学生時代から日本画を主軸としながらも恩師・岡倉天心をはじめ西洋美術の技法を積極的に学び、伝統と革新の対立から岡倉天心が東京美術学校の教授を辞して日本美術学院を創設した際も付き従っています。
かの有名な作品は、春草晩年の作。実は、モデル予定の美女の体調不良で、急遽題材にされたのがこの黒猫でした。偶然の賜物だったわけですね。木をバックにこちらを伺う猫の毛は、フワフワ加減が何とも言えないリアルさだと思いませんか?
これは春草が横山大観らと試み続けた、明治期の新技法・朦朧体によるものです。朦朧体とは、当時珍しかった西洋画の手法を日本画に取り入れたもので、輪郭をぼかして描くことで光や空気感の表現を可能にしたものでした。
本作品も猫の温かみのある毛並みと黒の存在感が目を惹き、脇の古木に飄々とした秋風を感じさせられます。
日々の生活の傍に、黒猫を佇ませてはいかがですか?