【帝王と呼ばれた男《東郷青児》】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

安倍首相が辞意を表明してから、マスコミは自民党総裁選挙の話題でもちきりです。日本最長の在任期間だったとはいえ、それほど強烈な個性を感じることのない安倍首相ですが、次の総裁と目される菅さんも、あたりさわりのない選択肢として浮上してきた地味な印象。これも時代の流れというものでしょうか。カリスマは、どのジャンルでも、時代の要請に応えて誕生すると言われます。

かつての日本に、帝王と呼ばれたアーティストがいたことをご存知でしょうか? 洋画家、東郷青児(1897〜1978年)です。コマーシャルアートの分野で活躍していたため、その作風であるデフォルメされた女性像を、どこかで目にしたことがあるかもしれません。

19歳で二科賞を受賞した早熟の天才は、その後パリに渡ってパブロ・ピカソ(1881〜1973年)とも交流を持ったそうです。帰国後は、日本の絵画マーケットに違和感を感じていたようですが、自分の表現を追求し、少しずつ自分のスタイルを確立していきました。ただ、作品以上にそのスキャンダラスな生活が人々の興味・関心を惹き、マスコミに多くの話題を提供しました。

既婚のまま別の女性と結婚披露宴を挙げたり、32歳の時に19歳の愛人と自殺未遂を図ったり。派手なのは女性関係だけではなく、仕事面でも雑誌の挿絵や書籍の装丁、壁画など幅広く精力的に活動、展覧会への動員を増やすためのパフォーマンスなども行っていたようです。エネルギーに溢れていたんでしょうね。

東郷が最も活躍していた明治から大正の時代は、いわば日本の産業革命時代。大量生産や民主化が進み、日本が西洋化と近代化を目指していた時代です。大きく変わっていく価値観について、戸惑いや迷いを感じる人も多かったと思います。そんな時代だからこそ、東郷のような強烈な個性や時代の流れにのった新しいスタイルの作品が、大衆から熱狂的に支持されていったのかもしれません。

現在、サムライオークションには、東郷青児とその流れをくむ作家の、作品取り扱いがございます。ぜひご覧ください。

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