【利用されてこその文化施設】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

これまでの人生で、思わず叫んでしまうほど感動したライブシーンが2回あります。1回目は1995年、野茂英雄のMLBデビュー戦。ドジャーブルーのユニフォームの野茂投手がマウンドに上がった時、なぜか涙が出てきました。2回目は1998年、中田英寿が2ゴールを上げたセリエAでのデビュー戦です。それほど熱心なファンではない自分があれほど感動したのですから、多くの国民に対して少なからず影響はあったのだと思います。

文化庁は先日、金沢市に移転する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館)を10月に開館すると発表しました。名誉館長には、中田英寿氏が就任。国立工芸館は日本で唯一の工芸専門の美術館。陶磁器やガラス、漆器、木工など、約1900点の作品を金沢市に移すそうです。

また政府はこの8月、文化施設を拠点とした観光振興のための『地域文化観光推進法』に基づいて、支援対象となる全国10地域を初めて認定しました。海外への情報発信や、施設の利便性向上などを幅広く支援するそうです。

今回認定されたのは、秋田県の『増田まんが美術館』、福井県の『一乗谷朝倉氏遺跡』、愛知県の『徳川美術館』など。税金の使い方ですから、賛否両論はあると思います。それでも、文化施設は人々に利用されてこそ、はじめて意味をなします。影響力のある人がPRしたり、ノウハウのある人が持続性のある運営をサポートするのはとても有効です。

景気が悪くなり、経済的な余裕がなくなると、人々の文化的な活動は急速に停滞してしまいます。ましてや感染症拡大防止策として、美術館などは長らく閉館し、その経営や運営についても問題にされることが増えています。文化財の公開、美術館の運営ノウハウとコスト、そして経営と、いくつもの難しい課題が複合的に存在し、日本の文化度のレベルをそれなりに形成しています。

コロナ禍が落ちついた後、国からの助成がなくなり、財源不足になった時、広く日本の美術業界には、危機的な状況がくるのかもしれません。アーティストを育てるのと同様に、文化財の保護にも、ある種のパトロン的な存在が必要になるような気がします。ネサンス期のメディチ系や日本の松方幸次郎(1866〜1950年)、薩摩治郎八(1901〜1976年)などのような、太っ腹の起業家の出現に期待したいところです。

サムライオークションもまだ大きなことは言えませんが、皆さまの美術鑑賞のお手伝いを通じて、日本の文化度向上に少しでも貢献していきたいと思っています。

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