【アーティストのリアルな制作現場を感じる映画】

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アーティストの人生を描いた映画作品は多数あります。ピカソ、モディリアーニ、ゴッホ、ポロック、ウォーホルなどなど、ドキュメンタリーにも魅力的な作品が多いですね。実在の作家を描いたものであれば、ファンはもちろんのこと場合によってはアンチの人に対しても興味はひきますし、興行的に成立しやすそうです。

ただ今回は、全く架空の作家とモデルとの限りなくリアルな、制作現場を舞台にした映画タイトルをご紹介したいと思います。1991年公開のフランス映画《美しき諍い女》です。

若く美しい女性と出会った往年の大作家が創作意欲をかきたてられ、集大成となる作品制作に取り組んでいくといった流れで、主人公の風貌も含め少しピカソを彷彿とさせるのですが、実は全く関係がなく、原作はバルザックの《知られざる傑作》という短編小説です。表現者の狂気を描いているという意味では、芥川龍之介の《地獄変》などが近いカテゴリーかもしれません。

そして、この映画の見どころは、作品の約半分を占めるアトリエでの制作シーンなんです。オリジナル版は、4時間を超える長い映画。スケッチブックの上を走るペンの音、デッサンをする時の木炭がたてる音、水を含んだ絵筆が滑る音など、それらをBGMとして聞きながら、黙々とキャンバスに向う画家の手元と、描かれていく作品を鑑賞する、そんな映画です。

この映画の本来の中心的なテーマは、老いや人生、才能、夫婦や変化する人間関係などでしょうが、まっさらなキャンバスへの下書きから撮っていますので、画材の使い方やデッサンの勉強にもなります。抑揚があまりない静かな映画ですが、アーティストの意識や創作現場を垣間見ることができるので、アートファンの皆さまにはオススメです。

モデルを演じる若きエマニュエル・ベアールも必見です。機会があれば、ぜひご覧になってください。

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