【良い出会いのために!《大江戸骨董市》】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

先週末、大江戸骨董市に行ってきました。感染者が増えてきている中、どのくらいの人出になるんだろうと思っていたのですが、やはり通常時に比べると少なめの人出でした。

でも、見て回る側からすれば、ちょうど良い混み具合。出店者さんは、ほぼほぼ会場いっぱいでしたので、道具系と陶磁器を中心に朝からお昼過ぎまで、たっぷり楽しむことができました。

改めて思いましたが、骨董市とかフリーマーケットは、老若男女が自然に出会える場所ですね。気の良い出店者さんですと、品物の善し悪しの見分け方なんかを丁寧に教えてくれます。全体の印象として、女性と若い方が増えているような気がして、少し嬉しかったですね。

ところで、目の前で積極的にお財布を開けていたのは、30代くらいの若い女性が多かったです。前々から感じていたのですが、女性の方がファッションとかライフスタイルに対して、自分らしさをしっかり自覚している人が多いですね。お化粧と関係があるのではないかと想像しているのですが、自分のスタイルがある人は、市場でも骨董や古美術品との良い出合いが多くなると思います。

自分が気に入ったモノ、素敵だと思うモノと出合うためには、まず自分のスタイルが確立している必要があります。自分の好きなモノがどういうものかわからない人には、良い出会いはなかなかありません。骨董・古美術品に興味を持った時、何か好きだなと思った対象が出てきた時には、その対象のどこに魅力を感じたのか、考えて書き出してみましょう。

沢山の品物を見て、気に入ったらその理由を考えてみる。そんな風にして経験を積んでいくことが、目利きになるということだと思います。私もまだまだ勉強中です。 サムライオークションにも、ぜひ遊びに来てください。あなたのための良い出合いを見つけてください。

【感染症が変えていく新しい世界】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

アメリカ大統領選挙が終わりました。バイデンさんは次期政権運営の準備を進めているようですが、トランプさんからの敗北宣言はなく、まだスッキリした決着は出ていません。

保護主義を強烈に推進する大統領が政権についている時にパンデミックが起こり、世界中の日常が一挙に崩壊。国際社会はグローバルに繋がり連携していく方が、明るい未来があるように思いますが、極端なリーダーの登場とそれに続く強力な感染力を持つウィルスの登場によって、世界は一瞬で閉じられてしまいました。大きな震災やテロ、2008年の金融危機よりもインパクトが大きくなってきている印象です。

ただ、これまでも人類には極限状況が訪れて、そこから何かを学び、新しい思想や文化を生み出してきた歴史があります。ルネッサンスがそうです。大きな概念なので、いろいろなとらえ方がありますが、14世紀にペストが流行って多くの人が亡くなり、社会が共有していた宗教的な価値観が徐々に損なわれ、人々がそれまでの教会ではない、新しい祈りの対象を探すようになっていく精神運動という側面を大づかみで理解しています。その中で絵画表現なども大きな影響を受けました。

今回の新型コロナウィルス感染症が人間社会に与えた影響は、経済的な面だけではなく、文化や精神面についても想像以上に大きく、来年もまだまだ変化の時期が続くでしょう。一時は全面的に閉鎖されていた美術館などは、予約制などを採用して公開され始めていますが、採算がとれているところは少ないようです。WEBを活用した、新しいアート鑑賞のあり方も模索が始まっています。

一方に大きく振られた振り子は、反対側に移動する時のエネルギーも大きくなります。良くも悪くも、新しいものが生まれる時代だと感じます。

サムライオークションも、骨董・美術品専門のネットオークションとして、新しい業態にチャレンジを続けていきます! 皆さま、どうぞよろしくお願いします!

【KGBのスパイ道具出品! オークションの楽しみ方】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

厳密には骨董・美術品ではないのですが、ユニークなオークションの話題がニュースになっているのでご紹介したいと思います。舞台は、米国の『ジュリアンズオークション』。2003年に設立され、カリフォルニアに拠点を置く、オークションハウスです。

エンタテインメント分野に強く、2011年にはマイケル・ジャクソンがスリラーで着用したジャケットが、180万ドルで落札されて話題になりました。ジョン・レノンのギターやマリリンモンローのドレスなどの販売実績があります。

そのジュリアンズオークションが来年1月、KGB(ソ連国家保安委員会)が東西冷戦時代に使用していたスパイ道具のオークションを開催するそうです。口紅に見せかけた銃や、隠しカメラが仕込まれた財布、盗聴器や暗号マシンなどが出品されるようで、少し古い時代のものとはいえ、数十年前まで実際に使われていたと思うと興味深いです。

出品されるのは、コロナパンデミックの影響で閉館したニューヨークの『KGBスパイ博物館』に先日まで展示されていた品々。落札予想価格は、数百ドル〜1万ドル程度と比較的参加しやすいようです。ミッション・インポッシブルならぬ、スパイ大作戦ファンだった皆さま、WEBで中継される競売の様子を冷やかしてみてはいかがでしょうか。

オークションの楽しみは、自分にとってのお宝探し。歴史的価値、市場価値とは違う、自分価値の探求は、心豊かに生きていくための基本だと思います。最近では美術分野でも、オークションでの人気が専門家による作品評価に影響を与えるといった『オークション主導』となるケースも多くなっているそうですし、やはり自分の好きなものを大切にする感性は大切にしたいものです。

サムライオークションにも、蒸気機関車のプレートなど、マニアックなアンティーク品が公開されています。

《▼『アンティーク品』での検索結果はこちらです》

お時間のある時にぜひご覧ください。

【骨董市場ドリーム《ヴィヴィアン・マイヤーを探して》】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

アメリカの骨董市場で、価値が無いと思われていた出品の魅力を再発見し、多くの人に認められて、映画になった《ヴィヴィアン・マイヤーを探して》をご存知ですか? 

▼《ヴィヴィアン・マイヤーを探して》

キネノート映画データベース

この映画は、ジョン・マルーフという青年が、郷土史の執筆にあたって、資料用に大量のネガ・フィルムを骨董市場で競り落としたところからスタートします。ダンボール箱に粗雑に詰め込まれたフィルムの中に、昔のシカゴの街並みが写っているのではないかと考えたようです。落札価格は380ドル。

ところが、画像は昔の街並みなどではなく、人物のスナップ写真が中心。その画像の魅力に気づいたマルーフ青年は、撮影者のヴィヴィアン・マイヤーを検索してみますが手がかりは全くなく、とりあえず200枚ほどの画像をネット上に公開しました。すると、その写真が爆発的な反響を呼び、自らの評価に確信を持ちます。

今まで全く人の目に触れてこなかった魅力的な作品を、少しでも多くの人に見て欲しい。10万枚のネガフィルム、700本の未現像のカラーフィルム、2千本の未現像モノクロフィルムを前に呆然とした彼は、画像の整理と保存をMOMAなどの美術館に頼ろうとします。しかし、門前払い。そこで、自分一人で見も知らぬ写真家の作品整理に取り組む決意をした彼は、少しずつ画像を整理しながら、展示会を開き写真集を発行を目指します。

シカゴ文化センターで開かれた《ヴィヴィアン・マイヤー》展は、なんと同センターの美術展史上、最高の来場者数を記録。ここから本格的な伝説が始まりました。映画の中で、世界的に著名な写真家ジョエル・マイヤーウィッツやメアリー・エレン・マークが、全く無名の彼女の作品を絶賛。生前に作品を発表していれば、間違いなく評価されていたはずだと話していました。

そこで、映画のはじめのシーンです。貸倉庫に眠っていたフィルムが売りに出され、二束三文で買い取った主人公。フリーマーケット好きで、普段からいろいろなモノを物色していたそうですが、本人いわく、価値あるものを見つけ出すセンスがあるのだとか。それはともかく、無名な作家の作品であろうと、タダ同然の値段がついていようとも、何か惹かれるものがあるのなら、たまには自分を信じて、思い切ってみても良いのではないでしょうか。

信じるのは自らの審美眼。他人の判断や客観的な指標ではなく、『自分が良いと感じた感受性』を信じてみることから、新しい何かが始まる気がします。 サムライオークションにも有名・無名さまざまな作家さんの作品が出品されています。お手頃な価格帯が中心なので、お時間のある時には、ぜひ新しい作品との出会いを楽しんでみてください!

【誰が何を書いているのか《書を楽しむ》】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

先日、将棋の藤井聡太二冠が王位戦で書いた『封じ手』がオークションに出品されました。その金額は2局分2通で総額2050万1000円。興味深いのが、将棋ファンの間でもその価値について、意見が分かれていることです。

王位奪取を決めた第4局の封じ手は1500万円で落札。その1手の大胆さもあって高値がついたのですが、第2局分を550万1000円で落札した人物は取材に答えて『藤井棋士の初めての封じ手』だから、自分は一番価値があると思って落札したと話していました。

確かにセオリー通り考えれば、どのようなジャンルのオークションでも『初』にまつわる出品は高値が付きます。しかし、今回はその封じ手の物語性に、より強い魅力を感じたファンが多かったということでしょう。

この『封じ手』のようなオークション出品の場合、その価値を決めるのは紛れもなく入札者の思い入れ。まだ若い藤井二冠ゆえに、今後の活躍次第でその価値はさらに上がってゆく可能性はありますが、古美術品などに比べればマーケットは狭いでしょうから、投資目的で入札する人は少ないと思います。

自分の思い入れに従って、お財布の範囲内で入札するというのが、一般人のオークションの楽しみ方。そんな王道の楽しみ方がしやすい作品ジャンルに『書』があります。

書は、《誰が》《何を》《どのように》書いたのかを楽しむものです。歴史上の偉人など《誰が》に強くこだわりを持つ方もいるでしょうし、その見た目の表現《どのように》に惹かれる方も多いと思いますが、結局のところ書の評価は『主観』によるところが大きくなります。

つまり、その作品を評価する人がどのような価値観を持っているか、その人にとってその書かれた言葉がどのような意味を持つか、といった鑑賞者の思い入れによって、その価値は大きく変わります。それゆえに、万人にとって共通の客観的な価値をつけることが難しく、それが商業オークションで作品が売買されにくくなってしまうひとつの理由だと思います。

ですが、だからこそ他人の評価を気にせずに、自分の価値観・思い入れによって値段をつけて入札すれば良いのです。そこには失敗という概念はありません。歴史を学んで憧れの人物ができたなら、その人物がしたためた《書》が市場に流通していれば、入札にチャレンジしてみましょう! もしもそんな《書》が身近にあったなら、きっとあなたの毎日に少しの力を与えてくれるはずです。

現在、サムライオークションには、歴史上の偉人が残した『書』が多数公開されています。
《『書』での検索結果・作品はこちらです》

時間のある時にぜひご覧ください。

贋作に価値は無いのか?

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの井戸です。

2020年5月26日のブログにも同じテーマの内容のブログがありますが、私なりに記事を書いてみました。

美術品に付きまとう問題のひとつに贋作があります。贋作とは偽物という意味です。手に入れたものが贋作だったらがっかりしてしまうかもしれません。しかし美術の世界では、見る人の目を唸らせる程の贋作に対して、その技術に高い値がつけられることも少なくありません。

そんな贋作を通じて映し出される人間模様を描いた、『嘘八百』という骨董品がテーマのコメディ映画があります。イカサマ古物商の小池則夫と、落ちぶれた天才陶芸家の野田佐輔の二人は、大手美術商に騙された共通の過去を持ちます。意気投合した二人が各分野のスペシャリストを率い、「幻の千利休の茶器」の贋作を作り出して大手美術商への復讐劇を企てる、というお話です。

物語の結末は映画を観ていただくとして、贋作のように「真似をすること」を芸術家はどのように考えるのでしょうか。ピカソは「凡人は模倣し天才は盗む」という言葉を残しました。サルバドール・ダリは「何も真似したくないと思う者は、何も生み出さない」という言葉を残しました。人は真似をすることで学び、それを活かして成長していくというメッセージです。

美術品を見るとき、偽物に騙されたくないと変に力が入っていませんか?本物と見分けがつかないほど似せられた作品にも、背景には深い物語があるかもしれません。その人にとって精神的な価値があれば、それは良作だと言えるでしょう。製造から人の手に渡るまでのストーリーによっては、本物を超える価値にもなり得るのです。

映画の中で、小池則夫が贋作の茶器でカフェオレを飲みながら「カフェオレが映えない」と野田佐輔にボヤき、ニヤニヤしながら飲むシーンがあります。二人の物語が始まる場面に居合わせた贋作です。ひとつの骨董品をこんな風に楽しむことができれば最高ですね。

※もちろん当社としては、贋作を容認したりオススメしているわけではありませんので、あしからずご了承くださいませ

【この秋は、骨董市に行ってみませんか?】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

もともと集団で生活するように最適化され、進化してきた人間にとって、人との接触を制限されることは、多くの人にとってしんどいことだと思います。ただ、まだまだ油断はできないとはいえ、新型感染症もある程度の落ち着きをみせてきています。

誰かと出会うこと、触れ合うことで人は成長します。刺激を受け、気づき、考えることがとても大切。骨董や美術にも同様の効果がありますね。全く知らなかった作家や作品に出会い、何かを感じて好きになる、そんな瞬間が大好きです。

サムライオークションはネットオークションなので、コロナ禍でのネット閲覧推進をもっとPRするべきなのでしょうが、今回は大江戸骨董市のご紹介をします。

春先からずっとお休みだった大江戸骨董市は、10月4日(第1日曜日)・18日(第3日曜日)に東京国際フォーラムにて開催予定です。新型コロナ感染症の状況によっては、中止になることもあると思いますので、事前に以下のサイトより、情報をご確認ください。

《大江戸骨董市・公式ホームページ》

骨董ファンの方でしたら、ご存知の方も多いかもしれませんが、大江戸骨董市は、〈有楽町・東京国際フォーラム〉と〈原宿・代々木公園ケヤキ並木※8月現在、次回開催日程は未定〉で開催されているアウトドア骨董市です。

日本最大規模とうたわれているように会場が広く、なんと言っても屋外なので、参加者が最低限のマナーとしてマスク着用で感染防止に努めていれば、それほど感染の心配もしなくて済むと思います。

出店数は約250店舗、一見フリーマーケットのように見えるお店もありますが、出店資格は〈古物商許可証〉取得者なので、身元は確かな方ばかりです。陶磁器、版画、軸物、道具類、などなど、あらゆるものがありますし、陳列も個性豊かでユニーク。初心者の方に最適だと思います。お時間があれば、ぜひ足を運んでみてください。 気になる作家や作品と出会った時には、サムライオークションでも検索してみてくださいね!

【《長楽無極》誰もが憧れる心持ち】

こんにちは!《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

休日は外出を控えていますし、テレワークも多くなり、自宅で過ごす時間が増えています。猛暑も続いています。無自覚でもストレスは溜まっているのでしょうね。少し心がささくれている気がします。

そこで、書を表してみました! まず、何を書くか悩みました。まあ、アレコレと書いてはみたのですが、こちらでご紹介する言葉は何にしようかなと…。お手本を見ながら、練習すること1時間です。『泰然自若』『大器晩成』『悠々自適』…。今の気分にしっくりくる言葉を探しながら、筆をふるっているうちに、だんだん楽しくなってきました。

書も絵画も、さまざまなスタイルがあり、多くの巨匠がいて、お手本にするのは良いと思うのですが、お手本の通りに書ければ正解というものではなく、要は自分が気に入った絵が、文字が、表現できれば満足、ハッピーということですね。そんなことに改めて気づきました。そこで、公開作品は『長楽無極(ちょうらくむきょく)』にしました。楽しみが限りなく続くこと、極まることがない楽しみ、という意味ですね。

嫌いなことを無理に『楽しい』と思うことは、できないのです。ただ、はじめは楽しくなくても、一生懸命やっているうちに、楽しくなってくることはあります。仕事が典型ですね。気分が乗らなくても、とにかく数分でもいいから集中してみる、頑張ってみる、そこから気持ちが乗ってくる、ということもあります。いつもうまくいくわけではありませんが(^_^;)。

ちなみに、龍のすずりは、栃木の骨董市で落札したものです。古いもののようですが、それほど使い込まれているようでもなく、以前の持ち主の方はどんな方だったのだろうと、いつも考えてしまいます。モノを通じて、見知らぬ人とつながることができるのも、骨董の楽しみのひとつですね。

サムライオークションには、骨董の各種道具類も取り扱っています。時間のある時にぜひご覧ください。

【利用されてこその文化施設】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

これまでの人生で、思わず叫んでしまうほど感動したライブシーンが2回あります。1回目は1995年、野茂英雄のMLBデビュー戦。ドジャーブルーのユニフォームの野茂投手がマウンドに上がった時、なぜか涙が出てきました。2回目は1998年、中田英寿が2ゴールを上げたセリエAでのデビュー戦です。それほど熱心なファンではない自分があれほど感動したのですから、多くの国民に対して少なからず影響はあったのだと思います。

文化庁は先日、金沢市に移転する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館)を10月に開館すると発表しました。名誉館長には、中田英寿氏が就任。国立工芸館は日本で唯一の工芸専門の美術館。陶磁器やガラス、漆器、木工など、約1900点の作品を金沢市に移すそうです。

また政府はこの8月、文化施設を拠点とした観光振興のための『地域文化観光推進法』に基づいて、支援対象となる全国10地域を初めて認定しました。海外への情報発信や、施設の利便性向上などを幅広く支援するそうです。

今回認定されたのは、秋田県の『増田まんが美術館』、福井県の『一乗谷朝倉氏遺跡』、愛知県の『徳川美術館』など。税金の使い方ですから、賛否両論はあると思います。それでも、文化施設は人々に利用されてこそ、はじめて意味をなします。影響力のある人がPRしたり、ノウハウのある人が持続性のある運営をサポートするのはとても有効です。

景気が悪くなり、経済的な余裕がなくなると、人々の文化的な活動は急速に停滞してしまいます。ましてや感染症拡大防止策として、美術館などは長らく閉館し、その経営や運営についても問題にされることが増えています。文化財の公開、美術館の運営ノウハウとコスト、そして経営と、いくつもの難しい課題が複合的に存在し、日本の文化度のレベルをそれなりに形成しています。

コロナ禍が落ちついた後、国からの助成がなくなり、財源不足になった時、広く日本の美術業界には、危機的な状況がくるのかもしれません。アーティストを育てるのと同様に、文化財の保護にも、ある種のパトロン的な存在が必要になるような気がします。ネサンス期のメディチ系や日本の松方幸次郎(1866〜1950年)、薩摩治郎八(1901〜1976年)などのような、太っ腹の起業家の出現に期待したいところです。

サムライオークションもまだ大きなことは言えませんが、皆さまの美術鑑賞のお手伝いを通じて、日本の文化度向上に少しでも貢献していきたいと思っています。

お湯を沸かすだけなのに、特別な存在感【鉄瓶】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフ井戸です。

お茶やコーヒー、料理など、お湯は毎日の生活に欠かせません。健康に気を遣って、白湯を飲むことを習慣にしている方もいらっしゃるかもしれません。お湯を沸かすための道具は色々なものがありますが、過去百年から二百年にわたって広く普及した「鉄瓶」に注目してみたいと思います。

江戸時代、岩手県盛岡市の周辺でよく取れる砂鉄を使った製品が多く作られていました。同じ頃、煎茶の登場がきっかけでお茶が手軽に楽しめるようになります。そこで、使いやすい湯沸かしの道具が必要になり、日本の茶道で用いられる茶の湯釜を小さくして、取っ手と注ぎ口をつけるというアイデアから「鉄瓶」が誕生し、たちまち全国へ広がります。

鉄瓶は丈夫で長く使われやすく、広く普及して種類も多いので、保存状態は気にしなければいけませんが、比較的見つけやすい骨董品かもしれません。戦前にはどの家庭にも一つはあったもので、古い鉄瓶は今では大変貴重なものとなっています。

査定や鑑賞で確認しておきたいポイントとして、「鉄瓶のつまみ」があります。「象牙」や「翡翠(ひすい)」が使われている場合、富裕層が財をつぎ込んで作らせた「嗜好品」である可能性が高く、「希少性」と「芸術性」から高価値になりやすいとされています。「つまみ」や「取っ手」は作者の遊び心やこだわりがよく反映されるので、よく観察してみましょう。また、鉄瓶の内部に白っぽいものがある場合、それは水に含まれるカルシウムが付着したものになります。カルシウムは赤錆を防ぎ、お湯の味を良くするものなので、必ずしも価値が落ちるものではなく、こすって落とす必要はありません。 重厚な存在感を持つ鉄瓶を生活に取り入れると、お湯を沸かすだけで特別な儀式を行っているような、厳かな気持ちになれそうです。