【独自スタイルの魅力《織部焼き》】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークション、スタッフの利休です。

気候変動への取り組みが世界的に加速しています。欧米の金融機関では、コロナ禍からの経済復興の中心に温暖化対策が明確に位置づけられており、『グリーン・リカバリー』やら『グリーン・ファイナンス』、『グリーン・シフト』なる言葉を良く見るようになりました。

世界的にグリーンと言えば森林をイメージするのだなあと改めて感じながら、でも骨董好きなら緑と聞いて思い出すのは、深みのある暗緑色の《織部焼き》かなと思い直しました。

戦国武将であり稀代の数奇者であったと言われる古田織部(1543〜1615年)が、故郷の美濃国で若葉を器に表現しようと緑釉を使って作らせた織部焼き。黒織部や赤織部などバリエーションもありますが、やはり特徴的な美しい緑をした青織部が標準的な織部焼の色として認識されています。

織部焼は、当時(安土桃山時代)の最新技術だった連房式登窯を使って大量生産されました。武士であった古田織部のぶこつさを象徴するような、左右非対称のひずんだデザインは好みがわかれるところもあるかもしれませんが、皿、鉢、酒器や茶碗、花入れ、香合など幅広い種類の伝世品が残されており、人気の一端が感じられます。

その大胆さや不完全さが、既存の規格や常識こだわらない古田織部自身の自由な精神を象徴しているようにも感じられ、その人物像をとても魅力的にしています。また、千利休の弟子としても侘茶を発展させたとして高く評価されており、茶器はもちろん、建築や庭園などについても『織部好み』と呼ばれるある種のスタイルを生み出しています。 歴史に残って語られていくスタイルには、まず独自の視点や個性が欠かせないのだと思います。むやみに世間に迎合することなかれと、織部焼きは静かに主張しているように感じます。

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