【想像力と美意識を味わう《金継ぎ》】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門オークションサイト》サムライオークションスタッフの利休です。

私も愛用しているファストファッションブランドがハイテクジーンズなるものを販売して話題になっています。色落ちしないそうです。かたや新品であるのに最初から傷んでいるダメージジーンズも人気です。好みはまさに十人十色。

昔は自分で履いていくうちに自然と色落ちし、世界で一本のオリジナルになるところにデニムの楽しみがあったのですが、製造技術の進歩は全ての消費者を顧客にするべく、経年劣化のイメージを含めたあらゆるバリエーションを揃えて、手ぐすねを引いているように思えます。

先日の骨董市で見かけた《金継ぎ》の器。手にとってみると手のひらにちょうど収まりもよく、古色蒼然とした雰囲気が魅力的で、買うべきかどうか数分悩み(楽しみ)ました。特に味わい深かったのがその金継ぎの美しさです。

思えば、金継ぎはダメージジーンズの傷と似ています。気にならない人には全くわからないと思うのですが、ダメージがあれば何でも良いというわけではなく、その破れが生み出す景色が自分の美意識と合っているかどうかが重要。明確な正解も論理もなく、その傷、あるいは修復後のカタチを自分が気に入るかどうか、判断は自分のセンスだけです。

本来の金継ぎは、物資が今のように豊かではない室町時代、割れてしまった器に愛着や未練があり、修復してもっと使いたいというところから生まれた技術です。もったいないという気持ちから施した修復の跡に、後の数寄者が美を感じ、景色として楽しみはじめ、今日的には芸術的評価を高めているというのはとてもユニークだと思います。

金継ぎはさらに発展し、別の器の破片を組み合わせる《呼継ぎ(よびつぎ)》という技術も生まれました。これなんかはまさにパッチワークですね。素材の異なる陶磁器をつなぎ合わせるわけですから、金継ぎよりも変数が多くなり、さらにセンスが求められます。 金継ぎに川などを重ね合わせて想像するのは、枯山水の石庭と同じ。骨董はその来歴を想い、長い時間を経て生まれた変化を味わい、そして空想の世界に旅立って想像を楽しむことのできる知的な遊びなのだと思います。

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