宝石に並ぶ極上の美【七宝焼き】

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2019年6月1日、天皇、皇后両陛下が即位後初の地方訪問先として、愛知県あま市の「七宝焼き」を展示する施設を訪問されました。七宝焼きは世界が絶賛する美しき日本の伝統工芸であり、気が遠くなる試行錯誤の末に生み出された職人の技術の結晶です。

七宝焼きとは

「七宝」とは、仏教において極楽浄土の荘厳さを表現する七種の宝のことです。

明治時代、金属の素地にガラス質の釉薬を焼き付けた工芸品が海外に輸出されるようになります。宝石が散りばめられたように光輝くその工芸品が「七宝焼き」です。ガラスのように光るヨーロッパの器のようにも見えますが、模様はとても日本的な柄をしているのが特徴です。

途絶えつつある伝統

七宝の起源は3500年前の古代エジプト時代とされおり、強大な権力を持っていたファラオが自分たちの副葬品を七宝で飾ったのが始まりとされています。その後ヨーロッパや中国、そして飛鳥時代の日本にもシルクロードを渡り、他の文化と共に七宝焼きの技術が伝えられます。江戸時代になると、刀の鍔(つば)やサヤの装飾、神社仏閣の釘かくしなどに使用されますが、幕府や大大名が独占するようになります。その製法は武士階級の没落とともに失われていきますが、幕末に梶常吉というメッキ職人が偶然手に入れた舶来品を研究し、独自に七宝で器を飾る技術を完成させます。美しい日本の図柄を取り入れた七宝は海外に飛ぶように売られ、日本はたちまち世界一の七宝生産国となりました。しかし、近年では変化する社会情勢や文明ともに技術が失われつつあるのが現状です。 作品の多くは海外向けに作られたため、最高傑作と呼ばれる七宝焼きは日本ではなかなか見ることができないと言われています。世界には様々な美術品が存在しますが、その中でも特に一見の価値がある美しさであることは間違いありません。

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