こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションスタッフ井戸です。
掛け軸を見るとき、当然ですが中心に描かれている絵や書の部分に注目して鑑賞しますよね。
掛け軸において、絵画や書の部分は「本紙」と呼ばれます。その「本紙」を引き立てるのも殺すのも「表具」にかかっていると言っても過言ではありません。
「表具」とは?
「表具」とは、絵画や書を鑑賞や保存に適した状態にするために補強する布地のことです。掛け軸は縦に長いということが真っ先に思い浮かびますが、一枚の長い紙になっているわけではありません。実際の絵画や書が描かれている本紙の下に貼る布の台紙のようなもの、すなわち「表具」に貼られているから掛け軸は縦に長いのです。
どんな「表具」が良いの?
良い表具であるには、「本紙を引き立てるが、本紙より主張し過ぎない」ということが重要です。本紙と表具の組み合わせにはセンスが必要です。
例えば、
・本紙と同色系の表具は、本紙を大きく見せる
・本紙と異なる系統の色の表具は、本紙を引き締しめる
といった具合に、組み合わせ次第で作品の雰囲気をガラッと変えることができます。
また、遠くから見たときには目を引くような存在感を出しつつ、近くで見るときには作品に集中できる、という絶妙なバランスであることが掛け軸の価値に表れてきます。
まとめ
掛け軸は「表具」を含めてひとつの作品であり、その良し悪しで作品はまったく違ったものになります。掛け軸を鑑賞するときには是非、本紙だけではなく「表具」の奥深さまで楽しんでみてください。