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歴史が好きだったなどとは、口が裂けても言えない学生だったのですが、年齢を重ねると突然大河ドラマにハマる友人がいたり、なぜか歴史に興味を持つようになる人は多いものです。人生経験が深まると、歴史上の出来事や誰それと自分を比較して、しみじみ共感できることが増えてくるのでしょうか。
最近、現在とルネサンス期を比較する評論やテレビ番組に触れることが何度かありました。ルネサンスという言葉は、辞書的には〈再生〉を意味するフランス語。ただ、その概念を語る切り口は幅広く、定義もさまざまあります。
私は塩野七生さんの『見たい、知りたい、わかりたいという欲望の爆発』(『ルネサンスとは何であったのか・塩野七生ルネサンス著作集1』〈新潮社〉)が、この精神運動の本質であるという解釈が気に入っています。
1348〜1420年頃、キリスト教会が支配してきたヨーロッパでペストが大流行し、イングランドやイタリアでは、人口の8割が死亡したそうです。その時、人々は初めて教会を疑いはじめ、宗教改革やルネサンス運動につながっていきました。
病気による極端な人口減が社会に与えた影響も大きいでしょうが、それまで圧倒的な権力や信用を誇っていた教会の権威が損なわれたことで社会は不安定になり、その後大きく変化していったのだと思います。
世の中が不安定な時に、変革者は現れます。ルネサンス期にキラ星のごとく現れた芸術家たちは、それまでの強力なルールから解き放たれて、自由な表現を生み出していった、というわけですね。
アフターコロナの世界でも、さまざまな分野でゲームチャンジャーが出てくるような予感がします。アートの分野でも、新しい表現者が現れてくるでしょう。古い思考の人間にとっては、楽しみなような、怖いような複雑な心境です。
サムライオークションにも、表現の変革者たちの作品が出品されています。お時間のある時に、ぜひじっくりと作品を探してみてください。