【自らの意志で創り出すのがアート】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

まだ相変わらずのコロナ禍で、世の中一色です。サムライオークションのオフィスがある上野周辺も、アメ横をはじめ人通りが極端に減っています。

医療崩壊の危機が叫ばれ、医療資材の不足も深刻ですが、そんな中、手作りのマスクや防護用フェイスシールドが、SNSなどさまざまなメディアで紹介されています。本格的なもの、ユニークなもの、素材もデザインもさまざまありますが、これらを見ていると人の想像力・創造力の豊かさについて、改めて感動します。

そう言えば、artの語源は、ラテン語のars(アルス)にあり、その言葉はギリシャ語のtechn(テクネー)に相当します。technは、英語のtechnique(テクニック)で日本語では〈技術〉ですね。このことから〈芸術〉と〈技術〉という言葉には、同じルーツがあるということがわかります。

〈芸術〉も〈技術〉も、〈創り出す〉という本質は同じ。それでは、それぞれの行為者を〈芸術家〉と〈職人〉に置き換えてみましょう。〈芸術〉という概念が確立するまで、ヨーロッパで〈画家〉は〈職人〉としてリスペクトされる存在でした。レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロなどは、いかにも職人ぽいですね。

現在の感覚で考えると〈芸術家〉つまり、ファインアートを創作する人は、内発的な表現欲求から、創作活動をしている人、というイメージになります。それに対して〈職人〉は、依頼者の求めに応じて、仕事(創作)をするという印象です。

でも〈芸術家〉でも、お客さんからの依頼で創作をすることもありますし、〈職人〉だって、誰から頼まれたわけでもなく、自分の気の向くままに作品を創ることもあるでしょう。

言葉の定義付けにはそれほどの意味はなく、思うに、心の中に自然にわき起こった欲求から何かを創る時、全ての人は自由であり、それは幸福な状態だということ。これなら皆さんにも同意していただけるのではないでしょうか。小さなお子さんが夢中でお絵かきしているのを見ると、なぜかこちらも元気になります。 困っている人のために、マスクやシールドを創る人の姿に、創作活動・芸術の原点を感じました。自ら創りだす人も、作品も楽しむ人も、サムライオークションは、ウェルカムです!

【文化を学ぶこと、絵画を楽しむこと】

こんにちは!《骨董品・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

2日前の日曜日、4月12日は今年のイースター(復活祭)でした。欧米のクリスチャンにとってはとても大切な日ですが、日本人にはピンと来ませんよね。でも、イースター前の金曜日(グッド・フライデー)は、欧米では金融市場も閉まりますし、国や地域によって期間は異なるものの、キリスト教文化圏では《イースター休暇》は必ずあるようです。

イースターは、十字架にかけられて死んだイエス・キリストが3日目に復活したことを記念するお祭りです。その日は〈春分の日の後の最初の満月の次の日曜日〉と決められているため、毎年日付が変わる移動祝祭日。世界中でさまざまな行事が行われます。

イースター前の金曜日は、キリストが処刑された日なのに、なぜグッド・フライデーなのか? これは、キリストが人類の罪を背負って自らを捧げることにより、人類が救われたため、という理由。なるほどですね。

そして《ホーリー・サーズデー》と呼ばれるイースター前の木曜日。処刑日前日のこの日は、キリストにとって最後の日。この日の夕食が、数々の名画を生み出すモチーフとなった《最後の晩餐》です。

その《最後の晩餐》の中にもストーリーがあり、そのストーリーには宗教的な教え(学び)が含まれています。レオナルド・ダ・ビンチの作品が最も高く評価されているポイントの一つは、そのストーリー描写の正確性とリアリティ。つまり、ダビンチがこの画を描いた当時、この画は楽しむための絵画ではなく、宗教的な啓蒙活動のためのツールであり、その役割を果たすための力が必要だったわけですね。

イースターは、日本人にとっての盂蘭盆会(おぼん)に近い宗教的な行事なのですが、例えばジブリの作品世界で描かれる日本の精霊信仰(八百万の神)などは、やはり欧米の人々には事前学習なしでは理解されにくいのと同様に、私達も欧米の宗教絵画を楽しむためには、それなりのお勉強が必要かもしれませんね。

【日常の中で、身近なアートを楽しむ!】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

家で過ごさざるをえない時間が増えて、どのように楽しく過ごすかがメディアで話題になっています。老若男女、居住地域、育ってきた背景など、いろんな過ごし方があってユニークですね。

お子さんがいるご家庭のトピックが多いですが、一人暮らしの大人なら、どんなイメージでしょうか。読書、映画、料理…とそんなところが思い浮かびます。でも、心がザワザワと不安定な今だからこそ、心を落ち着かせるアート鑑賞はいかがでしょうか。鑑賞と言っても、美術館もお休みですし、出ていくワケではありません。厳密には〈鑑賞〉というより〈創作〉に近いですね。まずは、今のお部屋に飾りたい、一緒に過ごしたいアートとはどんなものかを考えてみましょう。

まずはどんな作品を、どこに置くか。どんな小さなお部屋でも、あなたにとっての落ち着く場所とか、ふとした時に目がいってしまう場所がきっとあるはず。そこに少しだけスペースを作って、自分の好きなモノを飾ってみましょう。小さなフィギュアとか、一輪挿しとか。自分で描いた小さなイラストや刺繍の作品、もちろん写真もいいですね。今はお手軽な値段で素敵なフレームが沢山あります。毎日忙しく過ごしていると、自分の部屋でアートを楽しむなんて考えたこともなかったかもしれませんが、何事もまずは想像してみることからはじまります。

有名なコレクターや偉い美術評論家の先生たちも、最初は自分の身近にあった〈好きなもの〉を、手元に〈飾って楽しむ〉ところからスタートしているはずです。それは、美術の歴史も同じです。ユーラシア大陸で人類が実用の道具に、本来不必要な細工を加えはじめたのは、およそ1万5000年前。縄文人が使っていた土器や土偶の不思議なカタチには、当時の人々が感じる心地よさとか、心を動かす感覚が備わっているのだと思います。きっと、生活の中でふとした余裕が出来た時、一人の縄文人の中にアートを楽しむ気持ちが生まれたのでしょう。

皆さんの中にも、まだ眠っているアートを楽しむ気持ちがあるはずです。大いに刺激して、もっと日常生活を豊かにしたいですね。そのヒントは、サムライオークションにあります! お時間がある時に、ぜひ公開作品をご覧になってください。

【初心者のための骨董・古美術用語シリーズ!】

こんにちは! 初心者大歓迎の《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

美術品、骨董品の基本用語について、不定期にご紹介しています。今回は、日本画周辺の言葉について、いくつかピックアップしました。ご参照ください。

【絵草紙:えぞうし】

江戸時代の中頃から、江戸で出版された絵入りの娯楽本のこと。通俗的な事件などが紹介されている読み物で、庶民の娯楽でした。表紙の色や製本の仕方によって、赤本、黒本、青本、黄表紙、合巻などがあります。

【大首絵:おおくびえ】

主に江戸時代に描かれた浮世絵の様式のひとつ。歌舞伎役者や遊女、評判の良い町娘などの上半身、胸像が描かれたものです。喜多川歌麿(きたがわ・うたまろ/1753頃〜1806年)や東洲斎写楽(とうしゅうさい・しゃらく/生没年不詳)の作品が有名です。

【胡粉:ごふん】

日本画でよく用いられる白色顔料のひとつ。貝殻からつくられる。白色度の高いものは、ハマグリが用いられていたが、加工のしやすさからカキやホタテの貝殻も用いられており、全国で白色度の高い貝が探し求められていた。

【山水画:さんすいが】

中国で発達した絵画ジャンルのひとつ。自然の景色を描いたもので、人物画、花鳥画とともに、アジア圏における絵画の3大ジャンルです。現実の景色を再現した作品もありますが、作者が創造した作品が多い印象です。

【障屏画:しょうへいが】

屏風や襖、障子、衝立などに描かれた絵の総称。絹や紙に描いた絵を、屏風や襖、障子、衝立など動く間仕切り用具の両面に貼り付けた『障子絵』と、壁面に貼った貼付絵に分けられます。日本独特の室内装飾絵画です。 サムライオークションは、美術品・骨董品ビギナーを応援しています!

【《ピーター・ドイグ展》:東京国立近代美術館】

こんにちは! 初心者大歓迎の《骨董・美術品専門オークションサイト》サムライオークションです。

新型コロナウィルスが猛威を振るっていますが、皆さんはお元気でしょうか? 世の中全体が少々過剰に反応しすぎではないかと思う今日この頃ですが、美術館まで軒並み休館です(T_T)。

本来なら、2月26日(火)から6月14日(日)まで、東京国立近代美術館にて開催予定だった企画展《ピーター・ドイグ展》も中止になっています。

《▼東京国立近代美術館内特設コンテンツ》
ピーター・ドイグ展

ピーター・ドイグ(1959年〜)は、スコットランド生まれの現代アーティストです。実際の風景や絵画、写真、時には広告のグラフィックスや自分の記憶など、さまざまなイメージをブレンドして、『ロマンティックかつミステリアスな風景』を描き出します。

ドイグは存命の画家なので、作品についてさまざまな情報を提供してくれます。例えば、日本の新聞に掲載されたニセコスキー場の広告写真をもとに描かれたのが〈スキージャケット〉(1994年/油彩、キャンバス/テート・ギャラリー)。俯瞰した位置から描かれたゲレンデに、豆粒のようになったスキーヤーがカラフルに描かれていますが、これがニセコの新聞広告写真から着想を得ているとは意外性があって、作品を楽しむ気持ちも広がります。

また、〈ラペイルーズの壁〉(2004年/油彩、キャンバス/MoMA)は、ドイグが育ったトリニダード・トバコの海岸線の壁を描いた作品ですが、小津安二郎の映画作品から影響を受けていると語られています。そう言われて鑑賞すると、小津調といわれる静謐な世界観を、たしかに感じる作品です。

展覧会の解説によれば、『画家の中の画家』と評価されているピーター・ドイグ。臨時休館は、とりあえず、3月15日(日)までとなっていますので、開館された際には足を運んでみてはいかがでしょうか。日本初の個展になります。

【アーティストのリアルな制作現場を感じる映画】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

アーティストの人生を描いた映画作品は多数あります。ピカソ、モディリアーニ、ゴッホ、ポロック、ウォーホルなどなど、ドキュメンタリーにも魅力的な作品が多いですね。実在の作家を描いたものであれば、ファンはもちろんのこと場合によってはアンチの人に対しても興味はひきますし、興行的に成立しやすそうです。

ただ今回は、全く架空の作家とモデルとの限りなくリアルな、制作現場を舞台にした映画タイトルをご紹介したいと思います。1991年公開のフランス映画《美しき諍い女》です。

若く美しい女性と出会った往年の大作家が創作意欲をかきたてられ、集大成となる作品制作に取り組んでいくといった流れで、主人公の風貌も含め少しピカソを彷彿とさせるのですが、実は全く関係がなく、原作はバルザックの《知られざる傑作》という短編小説です。表現者の狂気を描いているという意味では、芥川龍之介の《地獄変》などが近いカテゴリーかもしれません。

そして、この映画の見どころは、作品の約半分を占めるアトリエでの制作シーンなんです。オリジナル版は、4時間を超える長い映画。スケッチブックの上を走るペンの音、デッサンをする時の木炭がたてる音、水を含んだ絵筆が滑る音など、それらをBGMとして聞きながら、黙々とキャンバスに向う画家の手元と、描かれていく作品を鑑賞する、そんな映画です。

この映画の本来の中心的なテーマは、老いや人生、才能、夫婦や変化する人間関係などでしょうが、まっさらなキャンバスへの下書きから撮っていますので、画材の使い方やデッサンの勉強にもなります。抑揚があまりない静かな映画ですが、アーティストの意識や創作現場を垣間見ることができるので、アートファンの皆さまにはオススメです。

モデルを演じる若きエマニュエル・ベアールも必見です。機会があれば、ぜひご覧になってください。

【陶芸は実用的なファインアート】

こんにちは! 初心者大歓迎の《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

NHKの連続テレビ小説「スカーレット」が放送されています。陶芸の才能を持った女性(実在のモデルとなった女性作家がいらっしゃいます)が、社会生活と創作との選択で心が揺れ動く状況は、既視感が少しあるものの、大変にわかりやすく、視聴者の心を捉えているのではないかと思います。

社会が大きく変化していく時代の中、文学・音楽・絵画といった全ての芸術分野において、男性中心の世界の中でポジションを獲得していったパイオニア女性の才能とエネルギーに、頭が下がるばかりです。

ところで、新しい表現様式といったものは、既存のスタイルに思考が染まってしまった作り手には、生み出せないのかもしれませんね。新参者・異端者だからこそ気づく視点があり、そこから新しい発想・表現が生み出せたという構図は、歴史の中に多くあったはずです。

例えば、陶芸においては、バーナード・リーチ(1887〜1979年)を思い出します。西洋の陶磁器と日本の伝統的な技法を融合させた彼は、陶芸をファインアートとして捉え、哲学やデザイン、工芸が融合したものと考えていたようです。

ただし、実用よりも表現としての美を優先させた陶芸に対して、実用的な日用陶器を創作することを実践していました。そのあたりは、同時代に生きた北大路魯山人(1883〜1959年)とも通じる美意識があるように思います。

サムライオークションでは、現在は陶磁器の出品は少ないのですが、落札時にも手数料が無料と大変お得なキャンペーン期間となっておりますので、古物商の皆さまはこの機会にぜひお試しください!

【信仰のカタチ、偶像のアート】

こんにちは!《美術品・骨董品専門のオークションサイト》サムライオークションです。

日本人の民族大移動は、お盆の頃と相場が決まっていますが、お正月の初詣もなかなかに興味深い毎年の風物詩ですね。

日頃は、特に信心深いわけではないのに、あるいは無宗教を自他共に認めている人でも、お正月には参拝するという方も多いようです。神社にお詣りするか、それともお寺にお参りするか、という選択もあります。最先端の行動経済学が示しているように、人間の行動は一貫性や合理性よりも感情によって決定される事が多いのだな〜と考えさせられます。

人が目を閉じて何かに祈る時、頭の中に何らかのイメージを想い浮かべる人も多いのではないでしょうか。神社へお詣りに行って、仏像を思い浮かべて祈ったら、少し面白いですね…。

仏の姿が表現された仏像は、祈りのための彫刻でありアートとも考えられます。中でも人気は、円空仏。鉈で彫られた仏さまは、どの作品も木の形が活かされており、慈悲深い温かみを感じる素朴で優しい仏像となっています。

生涯に12万体もの仏像を彫ったとされる円空(1632〜1695年)は、江戸時代前期に美濃国(現在の岐阜県)に生まれた修験僧(修験道の実践者・山伏)であり、仏師でした。

日本全国に約4500体が残っているといわれる円空仏は、古美術市場にも真贋ともに多く流通しています。円空仏は、次第に造形の簡略化が進み、素材の特徴をそのまま活かした表現へと変化していったといわれます。常設展示している美術館も多いので、興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

【ぎふの旅ガイド・円空】

【人も古美術・骨董も、来歴の中に面白味あり】

こんにちは! 骨董・古美術ファンのための《古美術専門オークションサイト》サムライオークションです。

日本にもファンが多い印象派の巨匠ルノワール。横浜美術館では、開館30周年ということで『ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』展を来年の1月13日まで開催しています。

同時代に生き、新しい表現を確立したオーギュスト・ルノワール(1841〜1919年)、クロード・モネ(1840〜1926年)、ポール・セザンヌ(1839〜1906年)、アルフレッド・シスレー(1839〜1899年)の4人を中心に、それに連なる次世代のアーティスト、アンリ・マチス(1869〜1954年)、パブロ・ピカソ(1881〜1973年)などや、さらにモーリス・ユトリロ(1883〜1955年)、アメデオ・モディリアーニ(1884〜1920年)、マリー・ローランサン(1883〜1956年)などの画家の系譜が、エコール・ド・パリというフレームを通して紹介されています。

何の世界でも、リスペクトする師匠や先輩の影響というのは、気がつかないうちにも受けてしまうもの。意図して学べば、なおさらのことです。何事も技術を身につける最短の方法は〈模倣にある〉ということなのかもしれません。

好きなものは自然と真似をしますし、模倣から技術は身につきます。その技術を身に着けた後、それを越えて飛躍させ、新しいものを生み出せたアーティストだけが、後世に名を残すような偉大な仕事を成し遂げられる、そんなストーリーを感じた展覧会でした。

サムライオークションの骨董・古美術ファンの皆さまも、ホッと一息する時間に、自分のこれまでの人生のストーリーに、思いをめぐらせてみませんか?

【余白を活かす日本人の美意識】

こんにちは! 初心者大歓迎の《古美術専門オークションサイト》サムライオークションです。

日本人の美意識というと『わび・さび』『花鳥風月』『風流』などがあります。余計なものを引いて引いて、ミニマルな要素で本質を表現するといったイメージでしょうか。

伊藤若冲など、過剰なまでの精緻な表現も面白いのですが、やはり最小限の要素で構成され、余白を生かして鑑賞者の想像力に訴えかける作品に強く惹かれてしまいます。枯山水の庭などもその典型ですね。

ミニマルな表現といって思い出すのは、長谷川等伯(はせがわ・とうはく/1539〜1610年)の松林図屏風です。桃山時代を代表する狩野永徳とのライバル関係が取り上げられることが多い等伯ですが、作品はともかく、権力にすり寄った印象が強い一大集団である狩野派よりも、少数精鋭を貫いた等伯にシンパシーを感じてしまいます。実際に狩野派は、あの手この手を使って等伯の足をひっぱり、保身を図ったといわれていますね。

『洗練』という概念も、物事の本質をつかみ、余計なものを削除していったミニマルな状態を指していると思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。 サムライオークションは、多様な作家の古美術品を幅広くご提供していくこと目指しています。これからもどうぞご贔屓に!