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この3月、オークションハウスのクリスティーズで、デジタルアートが6935万ドル(約75億円)で落札されました。作品は、Beeple(ビープル)と呼ばれるアーティストのデジタルコラージュ『The First 5,000 Days(最初の5,000日)』。コラージュには、14年間毎日公開し続けていた作品が使われているようです。
作品そのものもユニークですが、まずは歴史あるクリスティーズが初めてデジタルアートを取り扱ったことが画期的なニュースです。そして、2月25日に100ドルからスタートした入札が3月11日の最終日に75億円を超える金額で落札されたこと、その落札者が仮想通貨ファンドの経営者だったこともとても興味深いです。
リアルな美術作品にもさまざまな真贋論争があります。ましてや複製がしやすいデジタル技術によって創作されたデジタルアートは、どのように本物であることが証明されるのか。それを可能にしているのが仮想通貨の基盤技術となっている『ブロックチェーン(分散型台帳)』です。
ブロックチェーンは、仮想通貨(=デジタル資産)の所有者を特定するための技術。そのため全ての仮想通貨の成立基盤となっています。つまり、無制限に複製可能なデジタルコンテンツの真正性や、所有権を証明することができるこの技術が、アート作品に応用されたわけですね。
このようにブロックチェーンを活用して所有権が保障されたデジタルコンテンツは、NFT(非代替性トークン)と呼ばれ、映像、音楽、ツイッターへの投稿など、あらゆるデジタルコンテンツの唯一無二性を証明できるため、アメリカでは既に多くの商用利用がはじまっているようです。 報道によれば、『The First 5,000 Days』の落札を最後まで争っていたのは仮想通貨『トロン』の創設者だったのだとか。ブロックチェーンを熟知し、アート作品を含むデジタルコンテンツの未来について精通している人物達だったからこそ、デジタルアートの未来を信頼し、高額の落札を争えたということなのだと思います。