【暇な時間があって、初めて文化は成熟する】

こんにちは!《古美術専門オークションサイト》サムライオークションです。

水墨画が日本に入ってきたのは、鎌倉時代(1185頃〜1333年)末期と考えられています。禅の思想と一緒に伝わってきました。その後、室町幕府(1336〜1573年)となり、明(1368〜1644年)との貿易によって、大量の水墨画が輸入されます。

3代将軍足利義満(1358〜1408年)は、南北朝の合一を果たし、足利幕府の権力基盤を安定させた人物です。この他にも鹿苑寺(金閣)を建立したり、室町文化を開花させた文化人としても知られています。

義満は禅宗を庇護し、相国寺を創建。そこから周文(しゅうぶん・生没年不詳)、雪舟(せっしゅう・1420〜1506年?)などの画僧が輩出され、禅文化が栄えました。

14世紀頃までの日本における水墨画は、美術史で『初期水墨画』と呼ばれています。禅僧によって制作された作品は、師匠の教えを継いだ証明として弟子に与えられることがあり、そのため禅宗の始祖である達磨大師の画題としての需要が多かったようです。

15世紀には、花鳥画や山水画も多く描かれるようになり、掛軸で画面の上部の余白に、その絵にちなんだ漢詩が書かれた『詩画軸』と称される作品が制作され、より幅広い人のニーズに応えて、日本の水墨画はバージョンアップしてきたんですね。

社会が安定し、暇な時間ができて初めて文化が生まれるとは、よく聞く言説ですが、歴史を振り返ってみれば、確かにそのとおりだと理解できます。 サムライオークションでは、お手頃な価格の『詩画軸』も多く取り扱っております。ご自宅の居室に1点、ぜひご検討してみてはいかがでしょうか。

【時代とともに変化していく『日本画』について】 こんにちは! 初心者大歓迎の《古美術専門オークションサイト》

サムライオークションです。

皆さんは『日本画』の定義をご存知ですか? 

辞書的には…

《日本の伝統的な技法・様式に従って描かれた毛筆画。岩絵の具などを用い、絹・和紙に描く。明治以後、油絵などの洋画に対していう》(三省堂 大辞林)

となっています。

ただ、キュレーターやギャラリストなど、アートに関わる多くの専門家の方々でも、『日本画とは?』の答えは難しいようです。

そもそもこの『日本画』という言葉は、日本の美術に強い感心を示したアメリカの美術研究家アーネスト・フェノロサ(1853〜1908年)が、1882年に行った講演で語った『Japanese painting』の翻訳によって、初めて使われました。

ちなみに、この時フェノロサの通訳と助手をしていたのが日本の近代美術の基礎を築いた岡倉天心(1863〜1913年)です。

フェノロサは、日本画の特長として、以下の5点をあげています

1)写真のように、写実を追わない

2)陰影が無い

3)輪郭線がある

4)色調が濃厚ではない

5)表現が簡潔である

確かに本質をつかんでいますよね。

ただ、『日本画』も『アート』も、時代とともにその概念は微妙に変化していきます

岡倉天心が東京美術学校(現在の東京藝術大学)を設立した1889年頃は、『日本画』は日本の中で独自に発展した様式について外国人から指摘されたものであり、『西洋画』に対峙する『日本の絵画』というぼんやりとした位置づけで語られていました。

現在では、油彩画の影響によって絵具を厚く塗り重ねたり、抽象表現への広がりなど、伝統的な『日本画』の表現様式にとらわれない日本画家の作品も数多くあり、相変わらずその厳密な定義は定まらないようです。

そのため、最初にご紹介した辞書的解釈のとおり、端的には『日本画』は『画材』によって分類される、という扱いになっています。

つまり、岩絵具、胡粉(ごふん)、にかわ(ゼラチン)、墨などの伝統的な顔料を用いて、絹布(けんぷ)や和紙に描かれる千数百年続いている表現様式の作品が『日本画』ということになります。 サムライオークションには、多くの日本画が出品されています。絹布が使用されている作品には《絹本(けんぽん)》、和紙に描かれた作品には《紙本(しほん)》と記載されていますので、ご参照ください。

【初心者のための、骨董・古美術用語紹介スタート!】

こんにちは!《古美術専門のオークションサイト》サムライオークションです。

骨董・古美術の世界には、蒐集家や販売業者などプロの間で使われる独特の俗語や隠語のたぐいが多くあります。今後こちらのコラムでも、折りにふれてご紹介していきたいと思っています。

今回は、はじめての骨董・古美術用語紹介ということで、初心者の方向けの基本用語をとりあげます。

【初・うぶ】

これまで骨董・古美術市場に出品されたことがない骨董・古美術品のこと。

・使用例▶『この古伊万里は、《うぶ》いね』など。

【初出・うぶだし】

例えば地方の旧家など、その蔵に長く眠っていた骨董・古美術品などが初めて世の中に出る時に使われる言葉。プロが査定のために呼ばれて行って買い取る時や、市場でも頻繁に使われます。

・使用例▶『資産家から《うぶだし》の備前焼を大量に買い取った』など。

【初荷・うぶに】

一般のご家庭などから、初めて市場に出された骨董・古美術品などを指して使う言葉。プロの骨董・古美術商からはその価値が期待されたり、喜ばれることが多いです。

【新物・あらもの】

陶磁器など、古いものに似せて作られたもの、古いものではないことを指します。ニセモノに対して、否定的なニュアンスで使われることが多いです。同義語に【今出来・いまでき】があります。

【井戸茶碗・いどぢゃわん】

朝鮮王朝時代に制作された陶磁茶碗のうち、侘茶に使われる朝顔型の茶碗を指します。古来茶人の間では、最高位の茶器として珍重されてきました。

その特長から、大井戸、小井戸、青井戸、井戸脇などに分類されます。

鑑定のためのいくつかのポイントがありますが、意図的にその特長をまねて作った新物も多いので気をつけましょう!

井戸茶碗は、入門者の方が骨董の奥深さを知るために、最適なジャンルです! ぜひ井戸茶碗から、骨董・古美術の世界に飛び込んでください。

【分析と論理性が古美術市場を楽しむための基本】

こんにちは! サムライオークションです。

最近、世界のエリートの間では、MBAの市場価値が下がってきているそうです。替わりに台頭してきたのが、MFA(Master of Fine Arts)・芸術学修士です。

それはなぜでしょうか? 端的に言えばMBAよりもMFAの方が希少性が高いからです。

モノが溢れて大衆までゆきわたり、欲しいモノがなくなってきている今、ある商品を買うかどうかの選択は、デザイン性・アート性・物語性が重視されるようになってきているそうで、商品競争力は機能面による差別化から、情緒面による差別化へと変化してきているのだとか。

確かにMBAホルダーが巷に溢れて、同じようなコンセプトでビジネスをするようになると、結果的に同じような戦略ばかりになってしまい、競争力が失われそうです。

MBAが市場分析と論理性によってビジネスを展開するものだったとすれば、MFAは直感と感性を武器にするライセンス。つまり美意識を鍛えることで、ビジネスに活用しようとしているんですね。

この動きは、骨董や古美術に人々が目を向けるきっかけになりそうです。ただ、古美術市場を楽しむための基本は、MBA型の分析と論理性だと思います。 作品が作られた時代背景を学び、作者の育った環境、影響を受けた事物を知って、作品の意図を理解する。そのことから作品の市場性、本当の価値が見えてくるような気がします